母音で覚える絵札の並び

こんにちは、さしみです。素数大富豪プレイヤーの皆さんの中には「数札の並びは語呂で覚えられるけど、絵札ばかり並んでいると覚えられない」という方は多いのではないでしょうか。実際、私もn枚2n桁やそれに近い大きさの素数、超多枚などを覚える際にかなり苦しんでいます。

 

ということで、日本語の母音を活用した新しい絵札の覚え方を考えてきました。この記事では、それを思いつくに至った経緯と使い方、どのような素数に応用できるかを解説していきます。前置きの部分が長くなってしまったので、実用的な話だけ読みたい方は「覚え方」まで飛ばしてください。

 

 

語呂合わせとは

まず、札の並びを覚えるとはどういうことか確認しておきます。素数大富豪では通常、1~Kの13種類の札を自由な順番で並べて数を作ります。つまり、素数を覚えるためにはその13種類の記号の列を覚える必要があります。ただし、同じ枚数の中で相対的に小さい素数であれば1~9の9種類、大きい素数であればT~K(10~13)の4種類しか札を使わない場合もあります。

 

ここで、一般に数字の並びを覚える際に用いられる語呂合わせについて考えます。よくあるのは、1~9までの数字を、その読み方などに関連した音に変換し、それで言葉を作って並び全体と対応させる方法です。例えば1は「いち」「ひとつ」なので「い」「ひ」などと読むことにすると、日本語を母語とする人にとって直感的に覚えやすくなります。

 

さらに、素数大富豪においては、10~13を数字2つとして解釈する方法の他に、札の名前やTJQKと略した記号に関連させて音を割り当てる方法があります。Jを「じゃ」としたりTを「と」とするようなもののことですね。

 

このような語呂合わせのやり方は、多くの日本語母語話者にとって馴染み深く、素数大富豪を始めたばかりであっても簡単に覚えられることから、広く使われています。5は「こ」「ご」しか一般的に使われないなどある程度の偏りはあるものの、慣れれば新しい語呂を作ることもそう難しくありません。1桁1音程度と効率も良いです。

 

絵札の問題点

それでは、なぜ絵札だけの並びを覚えるのは難しいのでしょうか? 

 

全ての札を使う場合や数札のみの場合は、ひらがなで表せる音のかなりの割合が、何らかの数字に変換できます。そのため、多様な語呂を作ることができ、印象に残りやすいのでしょう。

 

一方、絵札のみの場合は、日本語の音の一部しか使わないため、どうしても語呂に現れる言葉が似たり寄ったりになりがちです。また、JやQなどはそもそも対応する音が(先ほど挙げた5と比べてもさらに)日本語に登場しづらくなっていて、語呂を作るのが難しいというのも大きな要因でしょう。

 

しかし、考えてみると、元は1~9の並びを覚えるために作られた語呂合わせです。後から追加されたT~Kだけを覚えるのに、使いづらいのは当然の話です。そもそも、4種類の記号の並びを覚えるというのは、記号が13種類の場合と比べて簡単に違いありません(理想的な符号化では「語呂」の長さは0.54倍で済む)。どうしてもっと効率の良い覚え方を使わないのでしょうか?

 

母音を活かす

では、どのような方法が効率的になるでしょうか。理想的には、既存のものと同程度の語呂の作りやすさであれば、ずっと短い語呂で絵札を覚えられるわけです。しかし、実際に絵札2枚を1音に対応させるような方法は、あまりにも煩雑に見えます。そのため、1枚1音は崩さず、より語呂を作りやすくする方向性に決めました。

 

すると、ひらがなで表される音をなるべく広くカバーできるように4種類のグループを定めるのが最適ということが分かります。また、音から絵札に直すのもできるだけ簡単にできることが望ましいです。

 

既に同様のことを考えている方もいるとは思うのですが、私が思いついたのはそれぞれの絵札を母音に対応させることでした。ただし、単純に上からアイウエと振るのではなく、TQやQTの並びをよく使う、最後はJやKになるなどのことから(特に厳密な計算はしていませんが)感覚的に語呂を作りやすく、並びを復元しやすくなるように工夫しました。それにあたっては以下の、日本語の音の出現頻度に関する論文が参考になりました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/audiology1968/41/1/41_1_73/_pdf

https://repository.ninjal.ac.jp/record/1037/files/kkrep_049_05.pdf

 

覚え方

作るまでの経緯を長々と書いてしまいましたが、ここからが実用的な話になります。と言っても規則は本当に単純で、以下の通りに変換するだけです。

 

T:ア

Q:イ

J:ウ

(X:エ)

K:オ

 

ただし、それぞれのカタカナは母音を表し、例えば絵札Tは母音がア、すなわちア段の全ての音に対応します。また、長音は2枚分としますが、例えば「公式」の2音目が「ウ」か「オ」かについては各自の判断に任せます(私はそもそも使わないようにしています)。

 

また、Xは予備で、普段は使いませんが、四つ子素数大富豪でJとKのどちらかを選べる場合などに割り当てると便利です。「ん」に対応する要素は定められていません。

 

ところで、母音にだけ注目するというのは、歌やラップなどで韻を踏むときに使われる考え方ですね。上の方法もラッパーなら一瞬でマスターできるのかもしれません。私はその辺の感覚は人並みなので、語呂を作る際は下のサイトで検索をかけています。

https://kujirahand.com/web-tools/Words.php

 

実用編

ここからは、実際にこの覚え方を使って様々な素数の語呂を作ってみます。語呂と言っても音が札と対応しているわけではないので「キー」などと呼んだ方が適切なのかもしれませんが。

 

4枚8桁

4枚8桁と言えば浅葱さんがよく苦しんでいるのを見かけます。この記事とは絵札1枚の情報量を2ビットとして圧縮する発想が共通しています。

https://asangi-a4ac.hateblo.jp/entry/2018/12/12/063112

 

また、私もマスプライム杯のときはKQTKを間違って出してしまっていました。まあこれ3の倍数なんですけど。ということで4枚8桁の上位互換を全部エンコードしていきます。

 

KJQJ:北陸、国立、モルディブ

KJTK:洞爺湖、放課後、よつばと!

KTQJ:ポラリス、ドライブ、モザイク

QKJK:フィヨルド、素人、美少女

QQQJ:イギリス、イチジク、ひき肉

JKJJ:湯豆腐、黒服、葡萄酒

 

これだけです。嘘です。最初なのでいろいろ挙げてみただけで、なんとそれぞれの項目から一つずつ好きなものを覚えれば大丈夫です。一応どれも一つ目は北に関連する地理的な要素にしてみました。「北陸、洞爺湖ポラリスフィヨルド、イギリス、湯豆腐」覚えられる気がしてきませんか? え、一つおかしいって? (JKJJとか出したことないし)北ってことで寒いときに食べる料理だし許してくれませんか?

 

ちなみに、GPT-4にストーリーを作るように頼んだら、美少女と黒服の男が伝説のひき肉を探す話ができました。せっかくなのであらすじだけ載せておきます(カギかっこでキーワードを強調しています)。

 

「国立」の美術館で働く「美少女」美咲は「放課後」「黒服」の謎の男に「ドライブ」に誘われる。彼らの目的地は国立公園内の隠された場所。男は特別な力を持つ伝説の「ひき肉」を探しており、美咲の好奇心が彼女をその探求に引き込む。

 

n枚2n桁

この方法は、もちろんもっと大きな切り札を覚えるのにも使うことができます。私がよく使う7枚出しで、最強格からは落ちるために絵札の順番が分かりづらいものをいくつか変換してみましょう。

 

KKQJQTJ:重い串カツ

KQJJTTK:トリプルカード

KTQQJTJ:おはじきクラブ

 

KKTQQQJ:大人しいイス

KQQTQTK:もみじ秋場所

KQTQQTJ:ゴリラTシャツ

 

もちろん語呂は一例です。個人のセンスが問われるところですね。「トリプルカード」が全然トリプルカードじゃないのは結構面白くないですか?

 

JTTQKJKQ=2^4×693831325819457

https://twitter.com/graws188390/status/1608115246480384000

などといったJ始まりでいかにも覚えづらい合成数もこのとおり!「暗闇コウモリ」

 

KJJTTKJK=T7×197×62199867647

四つ子素数大富豪8枚最強合成数もこのとおり!「恐怖! がしゃどくろ」

 

ちなみに、7音以上を一気に検索にかけると出てこないことの方が多いです。適当に区切って関連のありそうなものをくっつけると、覚えやすい語呂ができると思います。また、Kが先頭に連続する場合はそのまま覚えてもかまいませんが、省略してしまうのも有力です。

 

絵札攻勢

絵札の並びを覚える必要があるのはn枚2n桁に限りません。絵札が5枚以上含まれる素数をたくさん覚えておけば、KKJのような強力な切り札がなくても初手を返されずに勝つことができる場合があります。

 

その際、一般的には絵札を後ろに並べ、数札を先頭につけるのが覚えやすいとされている気がします。しかし、KKQTJやQQTTJのように絵札を覚えやすい順番に固定した場合、望む数札の並びで素数を作れるとは限りません。

 

そこで、私は、強い素数がたくさんできる絵札の並びをそれぞれの組み合わせで一つと、その先頭につけられる数字の並びを覚えることにしました。まだ探索中ですが、以下に一例を示します。

 

-JTQQK「スワヒリ語」(単体で素数となるのはQJQTK「ひつじ顔」)

642,645,864:「虫」と2,5,8を大きくなるように並べる

84,82,42:2,4,8から2枚を大きくなるように並べる

 

このように、馴染み深いものと独立な並びにも、簡単に語呂をつけることができました。私は組み合わせごとに多くても2,3個しか覚えないつもりですが、最大を求めるなら同じTJQQKでも大量の順番を区別し、それぞれに語呂を作ることもできます。

 

超多枚

もう一つ、絵札の並びを覚えることが求められるのが超多枚です。mickeyさんは超多枚素数を覚える際に数札の並びを固定し、絵札を組み替えています。その方が合理的だと私も考えていますが、やはり絵札の並びを覚えるのが苦手な人にとってはつらいです。実際、私も998876654432KKQJTQTJが覚えられず、998876654432QQKKTTJJの形を使っています。

https://mickey57.hatenablog.com/entry/2023/12/26/000654

 

ということで、今回は、998876654432につけられる絵札8枚の並びを覚えてみましょう。

 

KKKQTQJJ:驚き大福

KKQKQQTJ:おもしろTシャツ

KKQJTQTJ:氷スタジアム

KQJTTJQJ:子犬笑う犬

KQTQQTKJ:ゴミ屋敷太郎

 

今回2回目の「Tシャツ」を使って思いましたが、これ、混ざりますね。とはいえ、それはどんな覚え方でも逃れられない宿命な気もします。せっかく自由度が高いのですから、語呂に上手くテーマを持たせて区別できると良いですね。

 

おわりに

母音を使った絵札の覚え方、いかがだったでしょうか。まだ私も試行錯誤しているところですが、ありそうでなかった、新しいものを提案できたと思っています。これから使っていく中で改善していきたいところですが、もし面白いと感じたら、皆さんもぜひ試してみてください。それでは良い素数大富豪ライフを!

第2回PN会参加記

こんにちは、さしみです。先日、2月23日に開催された第2回PN会に参加し、大会パートではなんと優勝しました。そこで、話したことや考えたことなどを記録しておこうと思い、この記事を書いています。雰囲気が伝わり、今後のイベントの参考になれば幸いです。ちなみに、PN会とは完全数さんが主催している、大会も含めてゆるく素数大富豪で遊ぶ会です。

第1回

実は、私は昨年10月に行われた第1回のPN会にも参加しています。今回とほぼ同じルールの大会パートに加え、マスプライム杯からの短い期間ではあまり仲良くなれていなかった方やはじめましての方と話したり、ペアやemirpバックなど追加ルールのある素数大富豪で遊んだりしました。

 

ということで、そちらも非常に楽しかったのですが、大会パートでは予選ラウンドで負けてしまい残念な思いをしました。

 

それから4か月、急成長できる時期は終わってしまいましたが、楽しむ場と勝ちを追求する場の両方に顔を出し続け、知っている素数の量は着実に増えていきました。

 

雑談・素数ポーカー

会場は新宿駅の近くのレンタルスペースでした。マップから間違った住所をコピーしてしまいしばらく迷っていましたが、たくさん遊びたくて早めに家を出たおかげで開始には間に合いました。

 

大会パートに参加する人が集まるまでの間は、素数ポーカーをして遊びました。配られた5枚のカードで素数を作り、それがポーカーでの同じカード複数枚に相当するというものです。そのため、ファイブカード、つまり全部使っての5枚出しが最強になります。それを狙ってみたり、4枚と1枚で大きい素数を作ったり、なかなか戦略性があって楽しかったです。次やることがあれば、上手く5枚出しを作れたときはもっと大きく賭けてみたいですね。

 

予選ラウンド

そして大会パートが始まりました。今回の参加者は6人なので、まずは3人ずつに分かれて対戦します。予選ラウンドのメンバーは、はなぶさんとzoomerさん、なんと(OKnowさんはいないものの)前回と同じです。

 

ルールも軽く説明しておきます。初期手札は素数大富豪オンラインで5人以上のときと同じ7枚。6枚出しまでしかできず、ペナルティの最大値も6枚なのが大きな特徴です。これによって多枚数を組み切る力が要求されないことで、あまり素数を覚えていなくても上がりやすくなっています。

 

さらに、完全数さんお手製の素数表を参照してよい、というのも大きなポイントです。具体的なお役立ちシーンは後で見せますが、これが絶妙に使いやすく、素数力の差を埋める助けになっていたことは間違いありません。「さしみさんは見なくていいよね」と言いつつ、121343「熱いさしみ」を入れてくれていたのはとても嬉しいです。

 

さて、初心者に手厚く、楽しむための工夫が尽くされているこの大会パートですが、

 

出るならやっぱり優勝したい!!!!!

 

なので手は抜きません。と言っても、制限時間がないからと際限なく計算はせず1001チェックが通ったあたりで出す、明らかに他の選択肢が不利な状況以外では合成数カマトトはしない、辺りは心がけていました。

 

1人上がったところで終わるという特性上、試合は思った以上にサクサク進み、1時間弱でなんと12ゲームもできました。親が4巡していてキリが良いですね。結果はなんとさしみ8勝! はなぶさん4勝と大差で勝つことができました。全てを詳しくは説明しませんが、どうしても自慢したい2つだけ紹介します。

 

5T=2×3×5×17! 初期手札7枚一発上がり!!

 

8258=X×4Q9(X=2)! 初期手札+ドロー8枚一発上がり!! にばいめーかー!!!

 

やはり一発上がりはインパクトがあり、合成数出しの技巧的な雰囲気も合わさってとても気持ちが良いです。にばいめーかー(2倍の形の合成数出し)を練習し、合成数に対する感度が高まっていたのが功を奏しましたね。むふー。

 

残りの勝ち方は4枚と4枚の組み切りが2回、親を取って4枚出し(またはその分解)が2回、KKJが1回、5枚出しHNPが1回でした。また、はなぶさんが勝利したゲームは2枚出し、3枚出しが切り札になっていました。

 

決勝ラウンド

決勝ラウンドに進出したのはさしみ、もう片方のグループで1位のEKATooooooさん、二人に次ぐ勝利ゲーム数のはなぶさんです。決勝ラウンドは6ゲーム固定と少なめで、何が起こるか分かりません。それでももちろん優勝を狙う気持ちでいました。

 

EKATooooooさんのプレイスタイルは全く知りませんでしたが、時間をかけて素数判定をするのが印象的で、かなり手ごわいと感じました。また、KQTJを揃え、切り札としてしっかりと活用していたのが上手かったです。はなぶさんはここにきて完全数さんの素数表が役立ったようで、TAT7、T4T7と「素数になりやすい」形の4枚出しを決め、どちらも勝ちに繋げていました。

 

ところで、私はこの大会で役に立つのではないかと思い、5枚8桁の素数を大会前日、寝る前にいくつか調べて覚えていました。そのうちの一つ、56QQJが6枚出しの形で手札に揃い、一気に手札を出し切って上がることができました! これが、優勝したことを除けば決勝ラウンドで個人的に最も嬉しかった場面です。

 

あとは私の親番で57、57、48Kというあまりにもラッキーな上がりを挟み、最終ゲーム開始時の得点はさしみ2、はなぶさん2、EKATooooooさん1でした。延長まで考えると誰が優勝するか分かりません。

 

「さしみさん以外が勝ったら面白い」と声が上がります。そうかもしれません。それだけ強いと認められているのは嬉しいことです。それでも、これまでの積み重ねを、優勝という形にする最初の機会は、ここにしたいという気持ちが強くありました。

 

幸い自分の親から始まったため、ドローからの4枚出しをして残りの8QTJで上がる作戦に決めました。しかし、EKATooooooさんの、決勝だけで2回目のKTQJに阻まれます。そこからの残りは素数にならず、手番がはなぶさんに渡りました。そうして出てきた3枚に対し、こちらの最大火力はジョーカーまであるのに心もとないものでした。

 

ということで、勝つためにはカマトトするしかない、と決断しました。ジョーカーを見せない選択肢もありましたが、手札を増やすことを優先し5枚を場に。手札は10枚に増え、しかもKを2枚も引き入れることができました。

 

再びはなぶさんが親を取りますが、どうも計画が狂ったようです。試合後に分かったことですが、かなり絵札が多くありました。私が何か返してきたら3枚出しで親を取るつもりでいたのでしょう。そこで、はなぶさんは方針を転換、全出しをすることにしました。

 

私が同じ立場だったらやはり同じように全出しを選ぶと思います。HNPのチャンスは誰にでもあります。私自身、素数大富豪を再開したときから、何度もHNPを味方につけています。だからこそ、相手の、大会においてのHNPは、勝ちたい気持ちが強ければ怖いものだと身に染みています。そして、運命の全出しは……。

 

素数では、ありませんでした。

 

私はKKJを切り札に3枚出しをして、最後は(KKJにつくわけではありませんが、3枚出し二刀流で好きな)Q269で上がることができました。素数大富豪に関連する、大会と名の付く(?)あらゆるものの中で、これが初優勝です。

 

大会の感想

ここまで少し緊張感のある書き方をしてしまいましたが、大会パート、まずは存分に楽しむことができました。同じグループで対戦していただいた皆さん、観戦していた皆さんにとっても、楽しいと思えるようなプレイングや振る舞いが、少しでもできていたのなら幸いです。

 

せっかくなので、ある程度戦略的な視点でも今回の試合を分析してみたいです。このルールでの最大のポイントは、4枚出しがカギになるということです。場合によっては4枚6桁程度の素数でも切り札となる上、自分が最初の親であれば4枚と4枚の組み切りができるのがとても強いからです。

 

ここでの4枚と4枚の組み切りとは、手札8枚を4枚出し2つに分け、小さい方から出す戦術です。これによって、他のプレイヤーが小さい素数で返してきた場合は、大きい方の素数を出して上がることができます。もし、それより大きい素数を出されても、自分の手札に絵札を残せるため挽回しやすいことが特長です。

 

実は、4枚6桁などの中途半端な大きさの素数は、第1回PN会の時点では私は覚えていませんでした。しかし、そこで痒い所に手が届かなかった経験から、ある程度は覚えておこうという考えに至ったのです。それらの素数はガチ対戦でも非常に使用頻度の高いものなので、いずれは覚えていたでしょう。ただ、きっかけはPN会だったということで、個人的に思い入れがありますね。

 

そして、先日の素数大富豪で遊ぼう会にて、その覚え方を発表させていただいた(いずれ記事にします)のですが、完全数さんはそれをアレンジして今回の素数表に載せたそうです。先にも出てきたTXTY(Xは1桁で、明らかな合成数以外は全て素数になります)のような素数が、巡り巡って他の人の助けにもなっているということは感慨深いです。

 

あとは、合成数カマトトについてでしょうか。今回のルールでは元の手札が少なく一度パスすると上がられてしまうことも多く、ペナルティの上限は6枚で大きく手札を増やすことはできません。これらの点により、上手く、強さのバランスが保たれていたと思います。面白くなくならない程度に有効な場面がある感じですね(ガチ勢が集まってやったらもっと頻繁に出てくると思いますが)。

 

二つの話題を総合してもう一つ。中途半端な大きさの素数が手札の枚数の制約などで切り札として機能する状況が、私はとても好みだということが分かりました。競技素数大富豪では例えばKJQJどころかKKKQ未満の合成数は返されないことを確定できなければ高確率で返されます。しかし、手札をあまり増やせない状況においては、8JTJや98TJといったより小さい素数が返されない確率がそこそこあり、いろいろな素数が切り札として脚光を浴びるわけです。なんて素敵なことでしょう。

 

雑談・プログラミング

大会パートの後は各自好きなように話したり遊んだりする時間でした。今回は、にばいめーかーに関連するプログラミングの話をはなぶさん、はちさん、EKATooooooさんとしました。私が「にばいめーかー」という名前で前述の合成数出しを練習するツールを作っているのですが、はなぶさんの作った同様のツールと、問題をその場で生成するか保存しておくかといった違いが見られたり、実装方法の工夫を聞けたりして興味深かったです。

 

それから英語禁止素数大富豪をして「こんにちは新しい素数」というパワーワードが出てきたのも印象に残っています。食事に行った際には言オリに関する話をして、ななみさんには数学デーに誘っていただくなど、互いの興味関心や周囲の環境についての話を交換でき良い刺激になりました。

 

まとめ

今回は、第2回PN会に参加し、大会パートでは優勝するとともに素数大富豪に関連する様々な話や遊びができ、対面ならではの非常に楽しい時間を過ごせました。また、素数表とルールが上手く試合を盛り上げていたことが印象に残っており、その中で4枚出しが強いという発見もありました。

 

このような会を開催してくださった完全数さん、ご一緒した皆さん、本当にありがとうございました。この記事が、初めて、あるいは久しぶりに対面での素数大富豪のイベントに参加してみる際の一つの参考になるといいなと思っています。それでは、またどこかでお会いしましょう!

6枚12桁合成数の研究成果

こんにちは、さしみです。最近、ChatGPTが単純なコーディングにかなり使えることを今更ながら知ったので、いろいろと素数大富豪に関する研究に役立てています。実は前回の記事の四つ子合成数の記事にもその成果が使われています。

 

ということで、今回は、昨年末ごろに話題になった、奇襲用6枚出し合成数を紹介します。これについては、既にmickeyさん、dilshさんによる記事が出ていて、詳しく解説もされているので、まずはそちらを読んでみてください。

https://mickey57.hatenablog.com/entry/2023/12/26/000654

https://dil-13.hatenablog.com/entry/2023/12/06/000002

 

この記事は、そのような合成数をプログラムによる探索で大量に見つけたという、個人的な成果の発表になります。奇襲戦術を研究する人が増えるきっかけになれば幸いです(裏の目的として、mickeyさんが「手の内を明かしすぎるとまずい」と言って情報を出し渋っている、その独占を壊すというものがあります。ごめんね)。

 

 

合成数

まずは、下の表を見てください。

 

左から順に、6枚出しの合成数素因数分解、2枚使う札、3枚使う札、使わない札となっています。また、上段は3枚使う札がないもの、下段は絵札に限り3枚使う札があるもので、それぞれ大きさ順に並んでいます。

 

本当は、類似の合成数は大量にあるのですが、実際に使う際に考えることを減らせるよう、基本的な形のものだけを挙げています。その基準は、合計で消費する枚数が(17〜19枚が実用的である中)18枚であることと、札の被りが理論上最少またはそれに次ぐ量であることです。

 

そのため、極端に使う札の種類が多い(1種類抜きまで)ものばかり集まっていることには注意してください。逆に札の偏りがある場合には対応できていないということですね。また、dilshさんの記事との被りはありませんが、上二つはmickeyさんの記事に載っているのと同じものです(どちらも記事執筆時点)。最も使いやすいという言葉は、間違いではないと思います。

 

解説

毎度のごとく、使い方と揃う確率についても簡単に解説しておきます。

 

全出しに失敗すると手札が24枚になることが一般的ですが、その中にどれか一つ以上の18枚の組み合わせが揃っていれば、効果を発揮できます。残りの6枚を素数として出し、相手が合成数の方より小さい数で返してくれば、そのまま上がることができます。もし大きい数を返された場合、相手は絵札を6枚消費しているため、革命以外で勝つことが難しくなります。

 

より実戦的には、上の合成数は「Xを除くKが2枚以下で切り札による勝ちが難しく、12種類以上の札が揃っていて、一見して偏りが少ない」ときに探す価値があるでしょう。ただし、最低限使わない札くらいは覚えておかないと、揃っていなかったときのタイムロスが大きそうです。残りの6枚では知っている素数が作れればベストですが、3の倍数でなければHNP狙いもありでしょう。

 

では、実際にどれくらい揃うものなのでしょうか? mickeyさんが出している6%という数字が、こちらの検証でも求められました。これは、12種類の札のうち6種類が2枚ある組み合わせ全て、すなわち表上段のほとんどに該当します。ただし、QJQKTJだけは13種類のうち被りが5種類で、これはなんと9%の確率で揃います。

 

下段については、3枚の札があるため確率は低くなり、2枚が3種類のもので5.5%程度、4種類のものでは3%台後半となります。ただし、JやQが3枚ある、という条件下では当然見つかりやすくなります。

 

表のどれか一つが揃う確率とすると、上段のみでは29%、下段のみでは17%、全体では35%となります。ある程度出せるケースが固まっているため、一定より大きくはなりませんね。また、この数字は、Xが2枚あるなど他の方法で簡単に勝てそうな場合が多く含まれるため、実際に奇襲が最も有力なケースはそれより少なくなります。

 

ただし、Jが3枚あることを前提にすれば下段のうち4つだけを見ても28%揃う、という結果も特筆すべきです。Kが少なく他の絵札が多いなど、ある程度レアかつ不利になりやすい状況に特化して覚えておくのも有効だと思っています(そのために下段の表があります)。

 

また、この記事では紹介しませんでしたが、17枚消費や19枚消費を覚えておけば、1枚引いたりグロタンカットをしたりして複数回チャンスを得られるでしょう。

 

おまけ

上と同じ形の奇襲用ではありませんが、強い・面白い合成数を紹介します。

 

KTTJQJ=7^5×2J×36943

枚数が少ない上に指数があるため、とても揃いやすいです。さらに使う絵札の割にしっかり強いです。しかも一番大きい素因数が34369「さしみロック」の並び替えです。

 

QTJQTK=89^2×3J×49Q3

これもかなり出しやすい方です。大きめの素数の平方が含まれているのはロマンですね。

 

JJKTKQ=2^13×83×163417

これは2でたくさん割れます。実はOTTYさんが1年以上前に発見しています。

https://otty8121013.hatenadiary.jp/entry/2022/11/18/210212

 

TJQJKQ=2^4×3×29^3×86371

西さん、肉・肉・肉・ハム見ない!!!!!

二世さんに出してほしいです。出してほしいですが、最低24枚、欲を言えば30枚は集めないとなかなか揃わないかもしれません。

 

まとめ

以上、奇襲戦術に使える6枚12桁の合成数を紹介しました。いろいろと書きましたが、私個人としてはこのような奇襲は残念ながら(?)誰もが覚えるべき無敵の戦術にはならないと思います。もちろん決まれば強いのですが、発動条件が厳しく、揃っているかの判定が難しいです(この点についてはm型超多枚は偉大ですね)。また、その超多枚素数や通常の切り札と競合するケースが多く、頑張って慣れても勝率はそれほど上がらないと思います。

 

ただ、特定の状況においては最善に近い手になりうるため、楽しく覚えられるなら覚えて損はないでしょう。この辺は同じ合成数のHNCにも近いかもしれませんね。私のように気が乗らないなら超多枚素数をたくさん覚えるとよさそうです。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました! 6枚12桁合成数についての研究と情報公開が進むことを願っております。

四つ子素数大富豪の素数表

こんにちは、さしみです。昨年末に、四つ子素数しか出せないルールの素数大富豪がゲームとして成立することが分かり、四つ子素数大富豪と名付けられました。それにドハマりしていろいろ探索していたら切り札となる素数合成数がたくさん得られたので、基本となる四つ子素数と一緒に記事にしてみました。四つ子素数大富豪を極めてみたい皆さんの参考になれば幸いです。

 

四つ子素数に関してはまずここを参照してください。

https://primedaifugo.fandom.com/ja/wiki/%E5%9B%9B%E3%81%A4%E5%AD%90%E7%B4%A0%E6%95%B0

 

四つ子素数大富豪のルールの例として、こちらをご覧ください。

https://docs.google.com/document/d/12XAJ_PuLMoxq1Bd0FjhkA-r3kP4uQf0WvoXk6ViP5NE/edit

 

三四郎杯の参加は、ここで1月13日頃まで受け付けています。

https://forms.gle/p8UiX2pb3V4a1Hiq5

 

 

2枚出し

素数一覧

AX

TX

 

over系合成数

KK=K×TA

JJ=J×TA

K3=7×19

Q5=5^3

QA=J^2

J9=7×17

 

2枚出し四つ子素数はなんと2組しかありません。最大がT9のため、いくつかのそれよりも大きい合成数が存在し、ここではover系として全て挙げています。

 

3枚出し

素数一覧

19X

82X

2TJ/K

TJJ/K

 

合成数

985=5*197

4T5=5*821

4J5=5*823

4K5=5*827

6Q5=5^3*7^2

8Q5=5^4*K

3QK=7^4×K

 

3枚出しも素数は少ないです。また、ここから2TAXのような末尾が1の四つ子素数の下二桁を絵札で出す技が登場します。この形の方が大きくなりやすく、実際TJKは全て絵札です。overTJKはありませんが、いくつか使いやすい合成数が存在します。OTTYさんによる記事からもいくつか取り上げています。

https://otty8121013.hatenadiary.jp/entry/2023/12/18/195808

 

4枚出し

素数一覧

148X

187X

325X

346X

565X

943X

189J/K

5K4X

672J/K

8T4X

888J/K

99KX

36QJ/K

5T6J/K

 

over系合成数

5KQ5=5^4×821

(77JK=7^2×15737)

77QJ=7^2×15739

9QKA=J×TA×821

JQJA=7×J^2×K×TA

JKQA=TA×T3×T7

QK5J=K×17^3×19

(KKTA=TA×K001)

KKQ5=5^4×J×191

6TJK=17×191×1879

JTTK=7×J×144169

JQKK=7×1588759

 

合成数

J449=T7^2

J663=T7*T9

J88A=T9^2

2K3K=19×T3×T9

3JK5=5×J×5657

4TQ5=5^3×17×193

4Q8J=7×17×3469

46JJ=7×19×3467

 

4枚出しも全ての四つ子素数とover系、それに加えて使いやすい合成数を挙げておきます。最大の四つ子素数が5T6Kと小さく、over5T6Kは比較的多く存在します。ジョーカーが必須のものは最大でもなく実用性が低いですが、一覧という形式にするために載せています。

 

切り札という観点では、5T6Kは自分の手札が相手より少ないとき、組み切り終盤には心もとないです。ただし、over系はAの消費が激しいため、極端な話AAAA557Xと持っていれば通ります。より実用的なカウンティングの話としては、AかXを余計に持っていればKKQ5が返されないことを覚えておくとよいでしょう。

 

1/28追記:OTTYさんに既存のover系よりも強い合成数を2つ教えていただきました。探索した際に大きい四つ子の素因数を無視したため見逃していたようです。

 

5枚出し

素数

K9QJJ/K

Q8Q4J/K

Q6T5J/K

J9J5J/K

JK87J/K

9K8KX

 

over系合成数

2KTQK=K×TA×T9×1489 

 

合成数

QJ4TK=7×T7×197×821

TQQJA=7×J×K×TJJ

2TTQ1=J×TA×189J

3JQQ5=5^3×J^4×17

3KTQ5=5^3×7×J×3253

4TT2J=J×T7×34843

4KT3K=J×19^2×TA×T3

6Q8KJ=7^2×K×17×5659

83KQK=J×19×397757

 

5枚出しからは素数は切り札だけ載せておきます。全て数札のものはwiki等を参照してください。特筆すべきはK9QJJ/Kも、その次のQ8Q4J/Kも桁数の割に小さく、また前者と後者の間に一桁以上の開きがあることでしょうか。これにより、overK9QJKは一つしかないのに、K9QJJ/K以外には勝てる合成数が多数生まれています。面白いですね。

 

ただ、K9QJJ/K自体が揃いやすいので、それらの合成数が切り札として使える場面は限られてくるでしょう。2KTQKもoverKKQKJよりはかなり出現率が高く、K9QJKの過信も禁物です。

 

6枚出し

素数

6JTJKJ/K

4JKTKJ/K

TK5KKJ/K

6JKK5J/K

 

合成数

JQTJQ5=5^3×7×17×19^3×T9

6QQKT9=J×19^2×823×1873

K3J8KK=7×J×TA×17J69

 

6枚出しには見栄えの良い切り札が2組もあります。また、都合の良い合成数は出現しなくなってきます。全体的にJやKの消費が多く、カウンティング次第ではより小さい素数でも素数では返されないのが特徴です。見た目では、少しTJKっぽい素数が多いですね。

 

ただし、JQTJQ5や6QQKT9はJやKを合わせて2枚しか消費しないため、JKX合わせて8枚持っているからなんでも通る、というような過信は禁物です。もっとも、それだけ絵札が良ければ最強の切り札や7枚出しでも十分勝ちやすいでしょう。

 

7枚出し

素数

2QJJJTJ/K

JJ5JQKJ/K

83JTKQJ/K

4KQ4JTJ/K

4KJJJ7J/K

3TTT2KJ/K

2JKKQTX

9QT2TQX

72QQTQX

69QTJKX

36TTTKX

84QJK9J/K

8K72QQJ/K

8Q36KQJ/K

8TQ98TJ/K

 

合成数

48828Q5=5^J

 

7枚出しでは数札が先頭で1枚の素数は一組しかありません。また、切り札になりうる合成数は完全になくなります。局所的にJがKよりもはっきり重要になるため、Jを多く持っていればかなり優位に立ち回れます。しっかりとカウンティングしましょう。

 

また、絵札が4枚の素数は大きさよりも使いやすさを優先し、全ては挙げていないことにご注意ください。

 

8枚出し

素数

8JTKJKQJ/K

5QKJJTTJ/K

 

8枚出しになっても大きい素数の状況はあまり変わりません。切り札を見る限り、JとKの両方が重要と言えるでしょう。

 

9枚出し以上

9枚出し以上については、切り札を素早く参照できるソースがないため割愛します。この辺りから絵札の枚数自体が重要になってくるため、必ずしも大きい素数が必要ではなくなるかもしれません。また、素数大富豪と同様に、11枚以上になるとラリーが難しくなるため、切り札はあまり使われないでしょう。それ以上になると超多枚に相当する素数になり、探索に計算資源が必要ですが大量に存在はします。

 

考察

出せる数が絞られて切り札に必要な札の種類に多少のバリエーションができただけで、本質的には四つ子素数大富豪は素数大富豪とあまり変わらないゲームであると私は考えています。全ての素数を覚えることが人間に不可能な7枚以上では、熟練したプレイヤーが覚えられる量に大きな違いはないからです。ただし、少なくとも現在はプレイヤーの知識量が人類の限界からは遠いため、それを念頭に置いて素数大富豪以上に甘いプレイングをしても勝てる場合もあるでしょう。

 

余談ですが、四つ子素数大富豪で出せる数は全て素数大富豪でも出せるため、結局いくら四つ子素数を覚えても絶対的な素数の探しやすさにおいて素数大富豪を上回ることはないんですね。まあそれは素数大富豪も強くなっているということなのでむしろ喜んでよいでしょうが。

 

さて、切り札に必要な札の種類に多少のバリエーションがあることは、素数大富豪と比べどのような違いを生み出すでしょうか。最も影響が大きいのは、ある手札で複数の切り札を持ちやすくなることだと私は考えています。

 

例えば、4枚→5T6K→7枚→2QJJJTK→残りという組み切りが考えられます。このような出し方は、素数大富豪におけるKJQJとKKKQQQJを両方揃えるよりも遥かに簡単に実現できます。5T6Kが弱く、over系で返される心配があるかもしれません。しかし、over5T6Kは軒並み使う札に偏りがあり、その後の組み切りを制限します。パスすれば、相手は不利な状態で戦うか、回収するかの二択を強いられ、後者であれば7枚出しで組み切ることができます。

 

ということで、返すのに重要な札を消費する切り札、絶対に通る切り札の二つを用意し、この順に構えることで組み切りを簡単にする戦術が有効だと考えられます。より素数大富豪における直観に反する例も出すと、最大の素数より弱い3QK=7^4×A3なども弱い方の切り札として活用できるでしょう。

 

ちなみに、素数大富豪においても近い戦術が存在します。例としてはdilshさんによる3枚→KKJ→超多枚→残りと組むものがあります。これは、相手がKKJにKKQやKKKを返すと手札が著しく弱体化するため、ミスや回収を誘うことができます。ただし、十分な枚数を持っていれば超多枚を返せるプレイヤーにはあまり通用しません。

https://dil-13.hatenablog.com/entry/2023/12/06/000333

 

さて、プレイヤーが実際に覚えていくであろう四つ子素数についても言及しておきます。数の限られる4枚以下や、既にある素数大富豪プレイヤー向けの資料が活用しやすい5~7枚は、多くのプレイヤーが一定のところまで習得するようになるでしょう。

 

8~10枚については未知数です。ラリー後に中途半端な枚数が残ると、特例による3枚出し以下の通常素数による上がりができなくなってしまいます。そのため、より少ない枚数より組み切り難易度は高いでしょう。初手に出して返されないことを狙うために大量の四つ子素数を覚えるプレイヤーは出現するかもしれません。

 

超多枚については、オンラインのルールではグロタンカットに相当するものもなく、6枚程度の残りの処理に困ることから、中枚と同様にあまり流行らないものと思われます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。この記事の素数表で、素数大富豪プレイヤーが四つ子素数大富豪に参入するにあたって最低限知っておいた方がよい四つ子素数、プラスアルファはカバーできたのではないでしょうか。第一の目的として非本質的な(量ではなく、これを知らないとどうにもならないというような)知識の差による実力差を無くすことがあり、それに役立っていれば何よりです。もし抜けや間違いがあれば指摘していただけると助かります。それと、お願いになりますが、もし大きな合成数が他にあれば、ぜひ公開してください。

 

また、戦術の考察については後から見ると的外れなものもあるかもしれません。初期の記録として、後で笑うことができたらそれも悪くないと思っています。それでは、また素数大富豪か、四つ子素数大富豪の記事で、あるいは大会でお会いしましょう!

可変系素数まとめ

この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2023の21日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/8629

 

昨日はカステラさんによる全出し対策の記事でした。全出しをしないゲームはのんびりしていて私も好きですが、戦略的にも全出し以外の手が有効な場面は知識が増えれば増えるほど出てきますね。

 

はじめに

こんにちは、さしみです。皆さんは四つ子素数、好きですか? 1,3,7,9のどれをつけても素数になることから、一度に4つの素数を覚えることができるのは効率よく、またロマンを感じて私は大好きです。

 

この記事では、四つ子素数のようにある場所に複数の数を入れて素数にできるものを可変系素数と呼び、紹介していきます。既に考案されているものに加え、私が2023年に考えたものも登場します。ぜひ皆さんのお気に入りの可変系素数を見つけてください!

 

用語集

N個一組:1つの数の並びに対し、N個の異なる素数が表現されていること。2~9程度が確認されている。

固定部:ある組において、数字が共通している部分。

可変部:逆に、ある組において数字が異なる部分。主にXで表され、入る数は可変系素数の種類ごとに決まっていることが多い。

 

先行研究

四つ子素数以外はあまり知名度が高くないものの、可変系素数は昔から様々なプレイヤーにより研究されてきました。まずはそれらの特徴を見ていきましょう。

 

四つ子素数

まずはおなじみ、四つ子素数です。例えば820台の数は、2または5で割り切れない限り素数となりますが、それが821,823,827,829の4つとなることから四つ子素数と呼ばれています。また、よくある表記の方法として、Xに(決めておいた中から)何を入れてもよいという意味で82Xとするものがあります。四つ子素数に関しては(quadrupleから)82qなどとする書き方もありますが、ここでは他の可変系素数にも応用できるXを用います。

 

四つ子素数のメリットは、やはり変化させる部分が必ず最後にあり、1桁の数4つと決まっていることです。これによって、どこに入れれば良いのか、あるいは何をつけられるのか、悩むことが全くありません。このシンプルさが、四つ子素数を可変系素数の元祖でありながら最も有名にしているのでしょう。

 

では四つ子素数のデメリットは何でしょう。大きな欠点は無いに等しいですが、強いて挙げるなら数字が被るなどの理由により効率が4倍とまではいかないこと、その割に4つの素数が「重なる」必要があるため双子素数などと比べれば見つけにくいことでしょうか。

 

前者は、例えば7Q3432Xという四つ子素数のXに3を入れて使うことは同じ札が3枚必要となりあまりないといったものです。四つ子素数は変化させる部分が全て奇数なので、偶数消費型の素数では意図しない被りが減ってその強みが最大限に活かせることが分かります。

 

後者について、近い数字4つが全て素数になる確率は、(別の記事で詳しく説明したいところですが)ざっくり1つの数が素数になる場合の4乗となり、これは想像以上に小さいです。そのため、私の好きな7枚出し程度では数字の順番がバラバラなものしか見つからないことがあります(まあこれも少し増えると解決することもあるのですが)。他にも、超多枚で探索すると固定できる数字の並びが相対的に減ったり、計算量が爆発してそもそも単純な方法では見つけられなくなったりします。

 

とはいえ、総合的には四つ子素数は効率が良く、またトップクラスに覚えやすいため初心者にも最適です。好きな四つ子素数として5年間忘れなかった8T4X「八頭身」を挙げて次に進みます。

 

三つ子素数

次は、その四つ子素数を少し改変した三つ子素数です。似た名前になっている理由は、四つ子素数から選択肢を一つ減らしたものになっているからです。これについても古くから概念自体はあるようですが、ここではカステラさんの考えたもの、特に3,7,9をつけられるものをメインに紹介します。

https://graws188390.hatenablog.com/entry/2021/12/03/223443

 

三つ子素数のメリットとして、まずは四つ子素数よりも格段に個数が多いことが挙げられます。それでいて3つも素数が覚えられるというのはバランスが良い気がしますね。また、特につける3つの組み合わせを固定しない場合、JやKをつけるものを探すこともできます。

 

また、競技素数大富豪の上級者にとって、Aは革命時に小さい素数を出したり、2や3と組み合わせて絵札の代わりとしたりすることができる重要な札で、どちらかと言えば温存したいものです。そのため、特定の条件、革命用の素数や超多枚素数においては、3,7,9をつけるタイプの三つ子素数は、四つ子素数と比べほとんど使いやすさは変わりません。それで見つかりやすくなるのですから、ほとんど上位互換と言えるでしょう。

 

デメリットとして、3つの札の組み合わせが様々なものを覚える場合、混ざりやすいということはあると思います。

 

ということで、2021年から考察されていた三つ子素数が、2024年には新しい超多枚という可能性を手に入れてさらに流行することを期待し、次に進みます。

 

八方美人素数

今度は少し方向性を変えて、八方美人素数です。これはOTTYさんが考案したものですが、tatyamさんのブログが参考になるので載せておきます。

https://tatyam-prime.hatenablog.com/entry/2019/12/21/160201

 

八方美人素数は、Xに13種類の札のうち、全体が3の倍数にならない8種類を入れることができる可変系素数です。そのような札の候補が9種類あるものでもそのうちの8種類が素数であれば八方美人と呼ばれるそうですが、かなり覚えにくくなるのでここでは考えません。

 

メリットはやはり圧倒的な種類数です。可変系素数はやはり種類数が多い方がロマンがあります。8種類は正義です。

 

デメリットはやはりそのような数の組み合わせが極端に少ないことです。Xの位置が自由に変えられることである程度は可能性が上がっていますが、それでも7枚出し程度では全体で数えるほどしかありません。

 

それも実は10枚出しになると結構自由自在のようですが、少なくともnishimuraさんの素数探索では計算量が多すぎて見つからないはずです。tatyamさんは自身のアルゴリズム力と時間で殴って全探索したようですね。強すぎる。

 

それと、もう一つ競技素数大富豪においては使いづらい点として、Xには絵札と数札の両方が含まれるため桁数の把握が難しいこともあるでしょう。

 

ということで、使える場面は限られるものの、たくさん覚えて揃えば良い初手10枚出しなどにはかなり有効だと思います。

 

六方美人素数

さて、上の八方美人素数の一つの変種として、Xに絵札を入れないものを考えることができます。

 

自分で探索したので自作としても良いのかもしれませんが、nishimuraさんが言及していたので概念自体は以前からあると思いこちらで紹介しています。特に名前は見なかったのでここでは六方美人素数と呼ぶことにしましょう。前後左右上下、三次元的にいい顔をしていそうですね。

 

六方美人素数は、Xに1~9のうち合計が3の倍数にならないもの全てを入れることができる可変系素数です。そのような数は必ず6種類となっています。また、その特殊な例に岩淵夕希さんの「オロチ数」があります。六方美人素数については、Xが先頭に来るオロチ数とは異なり、八方美人素数のようにXはどこでも良いものとします。

 

メリットは、八方美人素数と比べ使いやすさはあまり変わらない割に、桁違いに数が多くなることです。Xに2もJも入れられるという状況は、素数の桁数を意識しづらくさせます。そこで、絵札を入れる可能性を捨ててしまうことで、便利さと見つけやすさを両立できるわけです。実際、9枚9桁の大きさがあれば六方美人素数もそれなりの頻度で現れます。使いやすいものを挙げておきます。

 

89X524167(3抜き)

95X487213(6)

4368X2517(9)

67X918243(5)

3196X5427(8)

5623478X9(1)

963X28571(4)

 

これらを覚えることで1種類足りない9枚出しが自由自在にできるようになります。また、この形の副産物として「抜いた数と3で割った余りが異なる数をXに入れられる」という覚え方ができるのも嬉しいところです。

 

六方美人素数のデメリットとしては、八方美人素数ほどではありませんがそれでも見つかりづらいことです。実際、9枚出しで順番をバラバラにすると組み合わせの数は相当に多いのですが、それでも上記の形で2や7を抜いたものはおそらく存在しません。

 

とはいえ、六方美人素数はある程度ロマンと使いやすさを両立していますし、またXの組み合わせが異なるため四つ子素数と差別化もできます。主に10枚前後のn枚n桁においてもっと探索されると面白いかもしれません。

 

たこあし素数

お次は少し変わってnishimuraさんのたこあし素数です。たこあし素数は、札を付け足す場所を選択肢ごとに変えることで素数を作りやすくしています。その意味では、狭義の可変系からは外れるのかもしれません。

 

札を付け足す場所を変えるというのは、ある数の並びに対し、1桁目、2桁目、と順番に数を挿入することにし、その数の並びは別に覚えるということです。詳しい説明については本人のこの記事にお任せし、一つ例を挙げておきます。

 

7-34356789

3-T-4356789

34-J-356789

343-8-56789

3435-5-6789

34356-2-789

343567-4-89

3435678-K-9

 

さしみ56789という並びに、7TJ8524Kと8種類の札を入れることができました。

 

メリットは、固定部に加え上の例では7TJ8524Kという8文字の並びを覚えるだけで、8個の素数を覚えることができるという、効率の良さです。さらに、それぞれの桁に入る数は被りが少なければ何を選んでも良いため、八方美人素数などと比べれば格段に見つかりやすいです。

 

デメリットは覚えた文字列を素数に直すのが慣れないと難しそうなことでしょうか。追加の札を何桁目に入れるかを判断する必要があるからです。また、素数大富豪オンラインなどに限りますが、同じ系列の別の素数に変更するのに時間がかかります(四つ子素数など最後の桁を変更するものは組み換えが容易です)。

 

もう一つ、必ずしも入れたい札を含む並びを得られないという問題もあるようです。ただ、こちらはその分固定する部分の自由度が高いため、あまり困らない気もします。

 

同じ系列の素数の中で、札を入れる場所が違うというのは他の可変系素数にはなく斬新です。一方でそれが使いにくさに繋がる面もあります。個人的にはかなり面白いと思っているので、nishimuraさんの今後の研究に期待するところです。

 

絵札可変系素数

もう一つ、nishimuraさんの考えた可変系素数と呼べるものがあります。それは、絵札可変系素数です。その名の通り、数札の並びは固定して絵札の組み合わせを変えられるものになっていて、ここでは最も代表的なQJ/TK/QK/JJ/KKの5つを付けられるものを紹介します。

https://searial.web.fc2.com/tools/sosuqjtk.html

 

メリットは一組5個という効率の良さもそうですが、数札の並びを覚えるだけで絵札を含む素数が覚えられる点が他に少ないです。語呂の中に絵札が混ざると記憶がごちゃっとしてしまう人にはおすすめですね。また、絵札がほどよく含まれているため、上の記事で紹介されている通り初手に揃いやすく、相手が知っている素数で返せないことを期待して9枚出しする戦術があります。

 

デメリットはどうしても数が少ないことで、固定部を7枚にしても理想の組み合わせが見つかるとは限りません。また、当たり前ですがn枚n桁の素数を覚えるのには使えません。

 

個人的には、絵札が最後に並ぶ形が広まっている超多枚と相性が良いのではないかと思います。五つ子だと数札をかなり乱雑にする必要がありそうですが、一組3つくらいなら上手い形が見つかりそうです。こちらも今後の研究に期待し、次に進みます。

 

自作素数

さて、今度は私がこれまでに自作した可変系素数、二種類について解説します。どちらも素数が多くなるような工夫が施されています。

 

21素数

まずはマスプライム杯直後に作り、知識が少ない間大きな支えとなった21素数です。こちらは、ある数の並びの先頭に21の倍数、Q6までの6つを付けられる可変系素数です。以下にいくつか例を示します。

 

X499

X3461 (三四郎の孫素数)

X476J

XQQ31

 

例えばX499であれば21499,42499,63499,84499,T5499,Q6499が素数になります。

 

メリットはなんといっても6個一組になっていることですが、地味に偶数の消費が多くなりがちな点も嬉しいです。可変部が2枚である程度バラバラなので、固定部が揃えば出しやすいのも便利です。

 

デメリットはやはり見つかりづらいことになってしまいます。同じ組であればどの数も3と7で割ったあまりが一致するため、全体としては何倍か素数になりやすいのが21という数字の効果です。しかし、それ以上に6個とも素数という制約は厳しいのです。実際、固定部が4枚までのものは上の4つしかなく、実用的なのは9枚出し以上になります。

 

今はあまり使わなくなってしまいましたが、個人的に思い入れのある素数です。こういうことを試してみた、という記録としては有益だと思うので紹介させていただきました。

 

6006素数

同じ組の素数同士の差がいくつかの素数の倍数になっていることを利用する発想は同じで、先ほどの21素数よりもパワーアップしたのがこの6006素数です。名前の通り差が6006の等差数列になっていて、3,7,11,13で割ったあまりが共通しています。さらに、反省を生かし3個一組程度に抑えることで、不変部が短くても見つかりやすくなっています。

 

T2J7:トニーじゃな

T8Q3:転売兄さん

J4Q9:いい、よい肉

 

上の3つを末尾に付けるというのが基本的な構成です。前述の工夫には一定の効果があったようで、不変部を被りのない4枚4桁に絞っても20個以上あります(これは5枚出し三つ子素数に近い見つかりやすさです)。いくつか挙げておきます。

 

85始まり:8524,8564

ハム肉:8629

23入り:2356,5239,2693,8932,3782 

1終わり:9641,8251,6391

 

気付きましたでしょうか、とはもはや聞く必要もないでしょう。このアドベントカレンダーのテーマ、ハム肉はなんと6006素数にできるのです! ということで、ぜひ8629J4Q9(ハム肉いいよい肉)だけ覚えていってください。

 

メリットも挙げておきましょう。見つかりやすさと効率のバランスは取れていると思います。やはり時代は三つ子素数なのかもしれませんね。とにかく数を覚えたい初手8~10枚出し、あるいは超多枚に応用すると面白いかもしれません。

 

超多枚については3TKさんのサマポケ超多枚と同じやり方がハマると思っています。

https://hana3101382283.hatenablog.com/entry/2023/12/31/shiroha

 

9876543QK-(5枚)-X Xは上の可変部

 

似た感じで、この形の18枚出しはかなり使える、と思って探索までしたのですが、覚えるのを諦めています。残念。

 

デメリットは中途半端に数札と絵札が混ざっていて、可変部と不変部が競合してしまうことです。どの札を使うのかが分かりづらいため、揃っているかの判断が難しいわけですね。絵札が可変部にあることはなかなかデメリットが多く難しいです。

 

これからの可変系

最後に、結局何が強いの? ということについて簡潔にまとめさせていただきます。

 

まず、四つ子素数はその分かりやすさ、現在の情報の多さから広く使われ続けると思います。この記事を最初に書いた後ですが、四つ子素数大富豪という四つ子素数しか出せない素数大富豪が流行しました。それによってさらに地位が上昇した面もあると思います。

 

次に、三つ子素数をはじめとする3個一組の可変系素数は、発展途上ですが開拓すればとても強いと思います。覚え方に工夫が必要なものの、特に超多枚で、四つ子素数を超えるバランスの良さをポテンシャルとして秘めていると思います。

 

もし初心者の方が可変系素数を新しく作るとしても、三つ子素数の応用をおすすめします。やり方は簡単で、2~4枚程度の並び3つを可変部として末尾に置くことにするだけです。あとはnishimuraさんの手札探索で探索してみましょう。3で割ったあまりが全部違うとできませんが、どれか共通していれば結構な数出てくるはずです。例えば、343、523、593の3つを付けられる4桁は、9438などたくさん見つかります。

 

最後になりますが、皆さん、5枚以上の不変部って本当に覚えられますか? 私はよほど規則性がないと無理だと思っています。ということで、記事のテーマが崩壊してしまいますが、可変系素数よりも楽な素数の覚え方を一つ紹介しておきます。

 

それは、不変部に相当する部分を好きなように決めてしまい、それに付けられる3枚以下の並びをたくさん覚えることです。例えば、この記事で、私は大量の4枚4桁を、23終わりや47始まりのようにグループ分けして覚えています。

https://greenplus.hatenablog.com/entry/2023/12/04/000000

 

実験してみると分かるのですが、3枚自由にくっつけていいだけで大量に素数が見つかります。それもそのはず、4個一組が3個一組になるだけで見つかりやすくなるのですから、1個一組ともなれば素数だらけです。というか、そちらが本来の姿です。

 

そして、何十個も素数が見つかれば、当然覚えやすいものを選ぶのも自由です。語呂を付けられるもの、たまたま1違いのもの、好きなように覚え方を工夫することができます。

 

ちなみに、この覚え方は、効率を求めて行う人が少ないだけで、簡単なので昔からあります。コックさん素数をはじめとした語呂素数も、意外と合理性があるわけですね。

https://nisei.hatenablog.com/entry/167593

 

おわりに

以下はアドベントカレンダー当時の内容です。

 

まだ書き終わっていません、ごめんなさい! 締め切りパワーで今日は結構進んだのですが、計画性が足りませんでした。25日までには完成させたいです。

 

明日ははなぶさんによる「最近の素数大富豪活動とお知らせ」です。素数大富豪で遊ぼう回には私も参加させていただきました。また来年も新たなイベントがあるのでしょうか? 楽しみです。

 

おわりに2

やっと書き終わりました。結局2か月も遅れてしまったようですね。また、種類ごとにかなりバラバラな書き方をしてしまいました。もう少し可変系素数全体に共通する概念を抽出して、個別の素数についても何に言及するかを統一した方が、全体としての見通しは良くなるはずです。

 

ただ、言いたいことは全て書けたと思いますし、せっかくアドベントカレンダーの記事として書いたものまで一から作り直すのもめんどい違うと思ったので、これにて完成とさせていただきます。読みづらくなってしまった分、内容に質問などありましたらできる限りの対応をしたいです。

 

また、当初は、n個一組の素数がどれくらいの割合で出現するかというデータや、それを踏まえてどのような工夫ができるかまで書くつもりでした。これについてはまた別の記事にできればと思っています。

 

それでは、更新分も含め最後までお読みいただき、ありがとうございました!

7枚出し完全版(仮)

この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2023の7日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/8629

 

昨日はdilshさんによる超多枚についての記事と、おまけで6枚出しについての記事でした! n日目にはn枚出しという私の企画に乗っていただき、ありがとうございます。

https://dil-13.hatenablog.com/entry/2023/12/06/000333

https://dil-13.hatenablog.com/entry/2023/12/06/000002

 

 

はじめに

こんにちは、さしみです。今回は、私が特に力を入れて覚えている、7枚出しについて解説します。7枚出しは、全出し後の組み切りにおいて際立って自由度が高く、コスパ良く強くなりたい中級者には最適の枚数になっています。また、初手でのトリッキーな勝ちにも貢献します。これ面白いな、と思った素数だけでも吸収していってください!

 

ところで、7枚出しについては3TKさんの記事が詳しいです(これ以上書くことない)。途中でもいくつか(3TKさん、mickeyさんの)記事を挙げますが、特にこの内容は大前提になるのでまずは読んできてください。

https://hana3101382283.hatenablog.com/entry/2020/08/25/sojiro

 

7枚出し戦術

ここでは、7枚出しを覚えることで使えるようになる様々な戦術と、その利点を紹介します。

 

7→4

まずは定番の初手7枚出しです。これは、11枚(またはドローした12枚)の中から、相手に返されないことを期待して7枚出しをするものです。よくA3KQJQTJのような切り札を流用した素数が初手に出ることがありますが、専用の素数を覚えるのも有効ということです。

 

目安としては、絵札が4〜5枚あると、そもそも絶対に返せない場合が多く(絵札が5枚ある確率は27%)強いです。可能なら先頭の数字が9や8のものを出せると相手の知っている素数がない確率が上がります。

 

利点としては、7枚出しやそれを流用した8枚出しは適度に揃いやすく、それでいて残りが3〜4枚と組み切りやすくなることが大きいです。もちろん9枚出しなどを大量に覚えられるならその方が強いかもしれませんが。

 

4→7

初手に絵札が3枚以下しかない場合、全出しをするのも一つの手ですが、逆に4枚を先に出すブラフ戦術が刺さる場合があります。これは、4枚出しに対して相手がoverKJQJを揃えるためカマトトすることを期待するものです。返されなければ7枚出しで上がり、絵札の不利を無効にできますね。

 

これには普通の7枚7桁から、絵札が3枚程度までの素数が使えます。絵札が3枚の場合は先に出してもある程度強いですが、一方でブラフに返されてもそこそこ戦えるので他の条件と相談しましょう。

 

利点としてはやはり絵札が少なくても勝てることが特筆すべきでしょう。しかし、欠点も明確で、どんな条件でも多用すると見破られるほか、相手にKJQJが揃っているなど普通に返してくる場合がそこそこ多いです。二刀流の下位互換という見方もありますね。全出しよりは勝てる、と思ったときに使いましょう。

 

7→7→7→残

これとその次は全出し後の戦術になります。まずは7枚出しでラリーをすることで堅実に手札を減らす勝ち方です。これについては3TKさんの記事で解説し尽くされているので補足程度に解説します。

 

この戦術には、やはり7枚7桁を覚えるのが重要なところです。一方で、24枚の手札に絵札が9枚あれば、7枚14桁を除いても2枚残るため、絵札2枚程度の素数も案外役に立ちます。

 

利点は、17枚から7枚出しを2つ見つけるのはそこまで難しくなく、残りも3枚程度と組み切りやすいことが挙げられます。ただし、相手がラリーを切ってくる可能性は意識する必要があります。一度パスしても多くの場合は有利が保てますが、組み切られることもあります。

 

また、そもそもKKKQQQJやK(X)4枚が揃っていないと使えないというのは、全出し後の7枚出し戦術に共通ですが、難点になりえます。

 

7合→7→残

全出し後の組み切りにおいて7枚出しの最大の利点は、べき乗を使った使いやすい合成数があることです。この戦術では、最初に7枚出し合成数を出して素因数で3〜6枚余計に減らし、次に切り札を出し、残りで上がることで勝つことができます。

 

答えが7桁以上の計算を毎回行うのは非現実的であるため、これには専用の合成数を覚えておくことが必要です。これは後に67T8864=2^26など、最も有用なものをいくつか紹介します。ただ、それで全てではなく、まだまだ独自に研究する余地が残っていて面白いです。

 

利点は、合成数出しのルールを利用して2^26を2^6×2^T×2^Tなどかなり自由に分解できるため、必ず使う札は少ないのにいらない札をたくさん捨てられることです。これが本当に強く、余った札で知っている素数がとても作りやすくなっています。ラリーが必要ないのも嬉しいところです。

 

欠点はほとんどありません。使う札を覚えておいて作れるかの判断を素早く行う必要があること、多少の暗算力が求められることくらいでしょうか。また、もちろん切り札がなければ勝ち確定にはなりません。

 

素数

それでは、これらの戦術に使われる素数を見ていきましょう。私の好みで、ほとんどが四つ子素数(Xと書いた部分に1,3,7,9のどれを入れても素数)になっています。四つ子素数は上位互換ではなく同じ桁数の中で弱くなりがちですが、4つの素数を一気に覚えられてとても効率が良いです(出しやすさや被りの問題で4枚とまでは言えませんが)。

 

被りなし7〜8桁

こちらは1〜Tを使う四つ子素数です。重複のない7枚出しを覚えるために、冒頭に紹介した記事で3TKさんがまとめている中から、偶数が多いものを厳選しています。

 

語呂も一部考えました((3TK)はそのまま引用、(改)は一部変更)。覚えやすいものを使ったり自分で考えてみたりしてください。案外意味より語感が大事です。

 

1種欠け型

159286X:暗黒ツバル -4

241867X:強い春奈 -5

452938X:横肉サバ(3TK) -6

527416X:ゴツ無し色(3TK) -8

618745X:ライバーなし子 -2

 

西コロバ型

523468X:ゴツ美シルバー(改) +3

892645X:発掘息子 +9

 

2抜き型(旧T49トシくん型)

T48519X:東芝号行く(3TK) +158

T93648X:特産虫歯(改) +368

594T36X:コクヨと猿 +356

86T157X:ハム遠い粉

 

42T15しぶとい子型

342T15X:察し太アゴ +3

T26415X:TOEFLよい子 +6

52149TX:ゴツいし工藤 +9

 

2T8ふたば型

2T8149X:ふたば意欲(3TK) +149

312T84X:財布飛ばし +134

T86529X:突破むご肉 +569

87423TX:話に殺到 +347

 

一見謎の分類をしていると思うので軽く説明します。上の2種類はTが入っておらず、その分24568が多く(1つ抜きまたは全部)なっています。下の3種類はTが入っていて、共通する3〜5枚の札ごとに分類されています。

 

また、語呂の後には同じグループの中で特徴となる、入っている(または入っていない)札を書いてあります。参考にしてください。

 

ちなみに、今後も登場しますが、このような使う札ごとの分類は、手札から出せる素数を探しやすくするのに役立ちます。自分で素数の覚え方を考えてみたいというときには試してみてください。

 

偶数消費型7桁

執筆後に探索した素数ですが、実用性が非常に高いので追記します。偶数をまんべんなく使う上の素数に対し、特定の偶数を多く消費できるのがここで紹介する素数になります。素数大富豪Wikiで取り上げられているものも一部ありますが、あまり知られていないものが多いはずです。

 

284686X:ニッパー白ハム 6688

944686X:串白ハム 4466

486865X:縛る春子 6688

886852X:阻む箱に 888

266824X:フロムバニーよ 2266

225634X:藤子武蔵 22

658246X:婿初嫁 66

 

気持ちセットになりそうなものを近くに配置しています。白ハムの2つなどは特に覚えやすいのではないでしょうか。また、225634Xは革命下で取り回しやすく、Aを使わずに返すのが困難です。

 

これらと被りなし素数を合わせて使うと、全出し後の数札消費がかなり楽になります。ただ、逆に奇数が多い場合もあるので、不変部分だけで奇数を3枚使うもの(397468Xなど)も覚えていった方が良いのかもしれません。

 

TQメイン9桁

次は絵札が2枚入った四つ子素数で、主にTとQが入ったものになります。全出し後にKKKQQQJなどを温存しながら出せるほか、初手が著しく弱いときのブラフ戦術に使えます。

 

素数大富豪Wikiから共通の並びがあって覚えやすいものを探し、まとめて語呂をつけています。私は全部下の通りに覚えていますが、意味が通らないものも多いので、もっと良い語呂が作れたと思ったらぜひ教えてください。

 

東都

TT2762X,TT6563X,TT7289X:東都フナムツ、ル・コルサ、夏バック

 

特急・イフリート

TQ3321X,TQ4614X,TQ7878X:特急さみつい、白石、那覇那覇

Q6T342X,Q6T498X:イフリートさしに、イフリートよく焼(く)

 

アツアツ

QQ4519X,QQ5872X,QQ6796X,QQ8254X:アツアツ横行く、ご飯なに、ムナクロー、パンツ越し

 

6枚兼用

2TKQ6,5TKQ6:太毛アフロ、ごと毛アフロ

 

その他大きめ

348TT5X,948TT5X,9TT452X:差し歯東都語、串場東都語、工藤と横に

623JT5X,392TJ8X:むつみジョウト語、柵に登場場

 

上の3つはTT,TQ,QQを使うものです。覚えやすい一方、最上位の桁が1なのでブラフ以外の大きさが求められる場面では弱いことがあります。それを逆手に取り、TQ7878Xだけは革命下の9枚出しで使えます。相手も知っている場合、TQ78789にはTQ78783で返されることがありますが(返したことがあります)。

 

また、TTの中には1が入っていて覚えるコスパが悪いので省略したものがあります。本来は1枚少ない素数を、絵札を分解して出せる場面が多く、わざわざ覚える必要性があまりないのです。ということで、それに使える6枚9桁四つ子素数も載せておきました。Kを13、またはQを12として出してみてください。

 

その他については、大きめのもの、Jを使うものを挙げておきました。348TT5Xと948TT5Xのペアなんかは覚えやすいと思います。また、J(やK)が入る有用な素数はもっとあると思うので必要に応じて探索してみてください。

 

絵札3~4枚

絵札が3~4枚入っているものは、大きさによって返されにくさがかなり変わります。ただ、今回はあまり数を用意していないので、全てまとめて紹介してしまいます。

 

TJQ型 

2TQJ68X 268:太厚ジョウロ屋 

2Q74JTX 274:V2なし上等

5Q8JT6X 586:こいつはいいトロ

7Q72JTX 772:ナイフ何上等

877QJTX 877 バナナQJT(3TK)

9TQ85JX 985 工藤厚箱ジャック

 

TTQQ型

9QT2TQX,QT8T3QX:QTTQのQTを挟む92、後のTを挟む83

 

その他

69QTJKX:ロックキュートJK(3TK)

 

絵札が3枚のものはTJQに絞っています。これも全出し後に7枚出しをするならKを温存しておきたいからですが、初手やブラフに使うのであればTQK、あるいはTJKやJQKも有効です。余裕があったら覚えると良いでしょう。

 

絵札4枚についてはTTQQを使うものを探索しました。本当はもう2つあったのですが、1を使う上に小さいため出す機会がなかったので省きました。9QT2TQXはとても使いやすく強いので初手に揃ったらぜひ出してみてください。

 

その他には3TKさんがおすすめしていた四つ子素数を載せてみました。これ以外にも、4枚二刀流用の素数は7枚11桁として使うことができるので、ここでの情報不足を補うためにも覚えてみてください。というか二刀流は普通に揃えば強いです。これも3TKさんの記事を載せておきます。

https://hana3101382283.hatenablog.com/entry/2020/05/31/kaieda

 

絵札5~6枚

絵札が5~6枚ある7枚出しは、私はほとんど覚えていません。初手、全出し後ともに勝ちにつながる場面が少なく、また有用な四つ子素数がほとんどないためです。

 

初手に絵札が5枚ある場面というのは、多くの場合KKJやKJQJ、KTQJなどの強い切り札が揃っています。また、全出ししても絵札が多くなり勝ちやすいです。そのため、絵札の枚数に頼って6~8枚出しをするのが他の戦術と比べて圧倒的に有利な状況というのはあまり多くありません。

 

また、全出し後も中途半端な大きさの素数で親が取れるということは少ないです。また絵札2~3枚程度の7枚出しとは異なり、ラリー中、KKKQQQJなどの切り札の前に出すことも難しいのです。絵札18枚のうち12枚以上持っている状況はなかなか起こりません。

 

とはいえ、相手が絵札を4枚使ってきたときに手番を取る、というような使い方もあり、これはかなり便利です。絵札を7枚、Kまで使って親を取るのは、その後の手札が不利になりコスパが悪いですからね。

 

ということで、言い訳らしく長々と前置きをしてしまいましたが、一応探してきたので紹介します。一部mickeyさんの素数表を参考にしています。

https://mickey57.hatenablog.com/entry/2023/07/29/215824

 

絵札5枚

85QQTTJ,93TTQQJ,96TQQTJ,82TQQTJ

94QQTTK,85QQTTK,98TTQQK,92TQTQK,95QTTQK

 

絵札6枚

8QQJTTJ,8QJJTTJ

9QTQTTJ,9QJTTJJ/9QQJJTJ

9KTQQQJ,9KQTJTJ,9KQTQTK

 

絵札が5枚のものについてはその組み合わせがQQTTJおよびQQTTKのものを並べてみました。このような選び方をした理由は、偶数絵札の消費が少ないことに加え、並び方が限定されて覚えやすいと思ったからです。QQTTJなら「正」TQQTJなら「山」(上がって下がるため)などのような名前をつけています。

 

とはいえ、並びを完全に固定しても各5個ずつくらいはあるので、そちらの方が覚えやすい場合もあるかと思います。一緒に試行錯誤しましょう。とりあえず、85QQTT-J/Kの2つだけ覚えておくのもアリでしょう。

 

絵札6枚も、Kの消費が少ないものを中心に挙げています。ただし、KをA3とバラして初手の8枚出しに使うのが強いため、2枚入っているものが必ずしも使いにくいわけではありません。

 

絵札7枚

絵札が7枚の素数については私から語ることはありません。この二つの記事を読んでいただければと思います。

https://hana3101382283.hatenablog.com/entry/2020/09/16/191049

https://mickey57.hatenablog.com/entry/2023/08/06/022239

 

一応覚える順番に触れておきます。

 

KKKKQTJ,KKKQQQJ

この2つは7枚出しをするなら絶対に覚えましょう。特にKKKQQQJはKとX合計3枚で勝ち確定の組み切りができるため、揃った瞬間7枚出しを決断してよいくらい使いやすいです。

 

KKKQQJJ,KKKJJJJ,KKKJTQJ,KKKTTTJ,KKQQJJJ,KKQJQTJ,KKJTJTJ

これらの素数もKを無駄遣いしない上に並びが覚えやすく、より絵札が有利な際にジョーカーを温存しつつ組み切るのにも使えます。7枚出しをマスターする上ではやはり必須級です。

 

あとは被りが少ないものやKを含まないもの(それぞれmickeyさんのtierB,tierCなど)を中心に、好きな覚え方をしましょう。先ほどの数札1枚のと似た使い勝手があると思います。

 

素数については以上で終わりです。できるだけ広い範囲をカバーしたかったのですが、dilshさんの6枚出しの記事で言及されていた革命用の素数など、紹介しきれなかった、また私も研究しきれていないものはあります。知見が集まったら続編を書きたいですね。

 

合成数

さて、おまけのような位置にある合成数ですが、実はとても重要です。戦術の節で述べた通りとても使いやすく、組み切りに使うのであれば最重要の7枚7桁素数と同時に覚えるべきと言ってよいでしょう。

 

7枚出し合成数と言えばmickeyさんですね。以下の記事は当時の界隈に大きなインパクトを与えたようです(たぶん)。

https://mickey57.hatenablog.com/entry/2022/12/17/002532

 

4782969=3^14

6718464=2^10×3^8

この二つが最も出しやすいと言われていますが、指数の自由度が高い前者が特におすすめです(シミュレーション上でも紹介する中で頭一つ抜けています)。3^14だけでなく3^9×3^5、3^13×3など3が多ければ変幻自在、いらない札を捨てて都合の良い札を残せるわけですね。

 

ところで、上の数が平方数であることはフェルマー法による近い数の素因数分解を簡単にし、即興で様々な組み合わせを出すのに役立つそうです。ただこれについては本人が使っているのも見たことがありません。

 

後で述べますが、素数大富豪では手札から使う数を素早く見つける必要があることが一因でしょう(あと常人には普通に素因数分解が難しいです)。一手5分とかあったらまた変わってくるのかもしれませんね。

 

67T8864=2^26

さて、この合成数については2のべき乗であるため有名で、こちらも上の2つに並ぶほど強いです。素数大富豪で使える2のべき乗については以下のマリンさんの記事を参考にしてください。

https://marinnonikki.hatenablog.com/entry/2020/AdventP1209

 

さて、ここからが私の発見した合成数になります。個人的には競技素数大富豪における今年の自分の一番の業績だと思っています。mickeyさんの提示した合成数の強みはやはり指数の自由度だと考え、2や3のべき乗×小さめの素数を探索した結果です。

 

T354688=2^17×79

この合成数は2~10までを必ず1枚は使う代わりに重複が少なく、結果として極めて揃いやすくなっています。79がくっついているのもむしろ組み切りの残りの手札を減らすのに役立っているように感じます。語呂は「父さん小次郎ババア」です。

 

526Q659=3^14×11

こちらは被りが2種類ですが、それでも残りの合成数に引けを取らず揃いやすいです。Jが余れば11に使える自由さが効いています。あと4782969の11倍なのも芸術点高いですね。語呂は「ゴーフルアフロ獄」です。アフロ獄が何か分からない人は私の記事を隅々まで読んでください(宣伝)。

https://greenplus.hatenablog.com/entry/2023/12/04/000000

 

(絵札で大きく勝っているとはいえ)上手く使えたときの数譜を布教(と自慢)のために載せておきます。

 

合成数を使うときのコツとして、2枚以上使う札は覚えておくことが重要です。overKJQJ二も言えますが、数字の並びがバラバラになりやすい合成数は、そうしないとどれが出せるかの判断に時間がかかってしまうんですよね。指数部分の数字と合わせて99や6688のようにメモっておきましょう。

 

以上、5つが私が現時点で最重要だと思っている7枚出し合成数です。ただし、mickeyさんは他にも様々な合成数を紹介していますし、まだ発見されていない有用な合成数はたくさんあると思います。アドベントカレンダーの残りでも出るかもしれませんね。

 

さしみ素数

これは本当におまけです。「さしみ(343)」を含む7枚出しを紹介します。割と使えるものもあります。

 

88101343X

「ヤバいおいさしみ」四つ子素数です。88TK43Xとすることでさしみ素数なのに3を1枚しか使わずに出すことができます。さしみがヤバいときに出してみてください。

 

3431389X

「さしみいざ焼く」四つ子素数です。343K89Xとすることで7枚出しになります。刺身を買ったのに食べきれず、翌日にもったいないと思いながら加熱するときに出してみてください。

 

7123432X

「ナイフさしみに」四つ子素数です。7Q3432Xとすると7枚出しになります。刺身を西洋風に食べたいときに出してみてください。

 

あとはさしみ合成数としてJ534336=2^20×11や1343488=2^15×41なども発見しましたがこちらは出したことがありません。3が2枚もあるときは大抵4782969で間に合ってしまうんですよね。

 

おわりに

以上、長くなりました(構成が雑ということもあるかもしれません)が、いかがだったでしょうか? 素数表だけでも役立てていただければと思います。これをきっかけに7枚出しがより広まったら嬉しいです。それではまた次の記事でお会いしましょう!

 

明日の記事はふみ川まうりさんによる博物ふぇすの振り返りです。

4枚4桁の覚え方~ハム肉を添えて~

この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2023の4日目の記事です。

https://adventar.org/calendars/8629

 

昨日は、もりしーさんによる、素数がモチーフの音楽についての記事でした! 冒頭の7QTQTJのメロディがとても良く、そこから一気に素数音楽の世界に引き込まれます。

https://prm9973.hatenablog.com/entry/2023/12/03/035111

 

 

はじめに

こんにちは、さしみです。皆さんは4枚出ししてますか? 今や20枚を超える素数が飛び交うことも珍しくなくなりましたね。それでも、4枚出しの重要性が衰えたわけでは全くありません。切り札を出した残りが4枚になることもあれば、KJQJを切り札にした二刀流戦法、あるいはそれを超える合成数(OverKJQJ)が試合を決めることもあります。

 

そこで、今回は、そんなときに使える、数札だけで4桁の4枚出しの一部を紹介します。と言っても素数自体については語り尽くされていると思うので、覚え方に重点を置いて書いていきます。始めたてだけど強くなりたいという人、語呂が好きな人に読んでいただければと思います。もちろん今年のアドベントカレンダーのテーマ、ハム肉も登場します!

 

始めに、4枚4桁の素数は並べ替えを無視しても246個あり、全て覚えるのは大変です。ということで、各桁の数字が全て異なるものに限ってしまいましょう。これなら80個にまで減ります。

 

それでも多いよ、という私のような人のために、前半ではさらに1を使わない42個をピックアップして紹介します。上手くペアを作りつつ覚えられるので、実質20個くらいの語呂を覚えるだけでマスターできるはずです!

 

1なし素数

兄さん/肉

4723/4729:シーナ兄さん/肉

7523/7529,7823/7829:軟膏、縄

8423/8429,8623/8629:箸、ハム

8923/(8929),9623/(9629):パック、黒

 

兄さん

4523:横兄さん

5623,5923:ゴム兄さん、呼吸兄さん

 

6529:むご肉

 

シーナ

3947,6947:ミクシーナ、ロックシーナ

3847,8647:サバシーナ、ハムシーナ

6247,6547:むにシーナ、むごシーナ

3547,9547:巫女シーナ、救護シーナ

 

コバ

5827,5843,5867:コバツナ、コバヨミ、コバルナ

5839,5849,5869,5879:コバミク、コバ四駆、コバロック、コバナック

 

三四郎

346X(X=1,3,7,9)

 

無惨

7963,8963,8563,6359:泣く無惨、吐く無惨、箱無惨、無惨呼吸

 

残り

8753:花ゴミ

7489:ナシバック

6257,8627,4259:むつ粉、ハムツナ、四つ子くん

 

1なし解説

素数表の形になっていた方が見やすいと思ったので解説はここでまとめてします。まずは「兄さん(23)」と「肉(29)」のどちらが終わりでも素数になっているものです。これが意外と多くて、見つけたときは少し感動しました。同じ行に並んでいるのはなんとなくペアっぽい組み合わせです。箸肉、ハム肉、のように唱えて覚えましょう。

 

次に「兄さん」のみのものです。呼吸兄さんは鬼を滅してそうな感じがしますね。兄だし。するとゴム兄さんは(兄ではないけど)身体がゴムのように伸びる海賊のことでしょうか。

 

「肉」だけなのは少ないです。ゴム肉を出せない代わりにむご肉を出すことができます。ここまでの素数は特に覚えやすいのでおすすめです。

 

次はなんと「シーナ(47)」です。シーナってなんでしょうね。あまり深く考えずに覚えると意外にもすっと頭に入ってきます。1,2段目は音楽関係、食べ物関係です。3段目はむにっとしたシーナと惨いシーナです。最後は巫女のシーナと(救護する)看護師のシーナです。シーナのファンアート(人間でもそれ以外でも)お待ちしております。

 

最後の大きなまとまりは「コバ(58)」です。これだけ頭につける数字になっていることに注意してください。意味はシーナ以上によく分かりませんがとにかく語感が良いです。特にコバロックを始めとした下段の素数が本当に好きです。ちなみにエゴロックというボカロの名曲があるので知らない人は聴いてみてください。

 

その次にある「三四郎(346)」は有名な四つ子素数で、末尾が1,3,7,9のどれでも素数になります。他にも使いやすいものはいくつかあるので、後で紹介します。

 

その下からはグループ化できず余ってしまった素数になるのですが、その中で一応まとめられたのが「無惨(63)」素数です。泣く無惨、吐く無惨はいい感じのペアですね。次の箱無惨はなんか、箱を背負っているのは呼吸兄さんの方では……という感じがしますね。無惨呼吸も同じですが、こちらだけ順番が逆で「ご苦労さん(5963)」になってしまうと67×89で素数ではないことに注意しましょう。

 

あとは本当に余りで、私も覚えているか怪しいものがあります。やはり「エゴロック」っぽい語感のナシバックは好きで、あとは四つ子くんが双子ですらないというのが面白いと感じます。

 

以上、語呂はいかがだったでしょうか。どのようなやり方でも、上の素数を全て覚えれば「2~9のみで被りのない4枚出し」で奇数を含み、和が3の倍数でないものは必ず出せるようになります。心強いですね。

 

さて、後半は1を含む素数なのですが、前半ほど覚えやすい方法を考えられていないので一部の紹介に留めます。私が現時点で使いこなせるのもだいたいこの範囲になります(ということで全部は分かりません)。

 

1あり素数

シーナ(追加)

5147,8147:恋シーナ、はいシーナ

 

K入り

4513,4813:しごキング、しばキング

8513,8713,9613:箱キング、花キング、黒キング

 

Q入り

9127:クイーンニーナ(その語呂はQ27(素数ではない!)では?)

8123:はい兄さん

4129,4127:良い肉、良いニーナ

1259,1289,1237:アツ獄、アツ漠、あつみな

 

四つ子素数

148X,187X,325X,943X

 

偶数降順素数

6421,8641,8521

 

1あり解説

また少し解説をします。最初はシーナ素数の追加ですね。被りがあるものも探索すると良いのかもしれません。

 

次の2つは3枚出しもできるものです。覚えておくと一石二鳥ですね。しばキングとかは面白くて好きです(実は、しごキングの方は5413という上位互換があります)。Q入りの方は少し覚えづらいですね。アツ獄とアツ漠は暑い地獄と暑い砂漠みたいなイメージで、派生に「アフロ獄(12659)」と「アフロ漠(12689)」があります。ただし、これらと148Xはラマヌジャン革命の1729よりも小さいため、強い4枚出しを切り札にする前提で出す際には注意が必要です(上位互換もありますがここでは省略します)。

 

四つ子素数はどれも覚えておくと役に立ちます。実は9437は前に紹介した3947の上位互換なのですが、3947も語呂があるので紹介しています。

 

最後は偶数降順素数と勝手に呼んでいる3種類です。偶数のみで差が同じ3枚を大きい順に並べて1をつけると素数になります。覚えやすくて便利ですね。少し脱線すると差が0として2221,4441,6661も素数になるようです。

 

おわりに

ここまで、1が入る方の4枚4桁被りなし素数を半分ほどですが挙げてみました。残りは覚えたくなったらぜひ自分で考えてみてください。私が頑張ってみたところでは21,51,61終わりで全てカバーできます。

 

また、前半と後半でこのような分け方をした理由は、1が入っているものは最悪1始まりで並び替えその場で素数判定できるからというものでした。しかし、実際は37や41辺りまで1分で割り算するのは私には難しく、また前述のように革命されるリスクがあるため思い通りにはいきませんでした。ただ、一つの分け方としてはアリですし、1は絵札をバラすなど何かと使い道が多いため全く無意味でもないのかなと思います。

 

それから、これらを全て覚えたらぜひ被りのある4枚出しにもチャレンジしてみてください。今の私も「ゴルゴ(565X)」四つ子素数や「よろしく(4649/6449)」などの語呂や紹介した四つ子素数で被りができるもの、9923/9929など(とHNP!!)に頼っているのですが。

 

次回以降の記事では、おすすめできる覚え方を考えたものの量が多く書き切れなかった4枚6桁や、overKJQJの語呂の紹介をできればと思っています。最後までお読みいただきありがとうございました!

 

明日の素数大富豪 Advent Calendar 2023は、3TKさんによる今年のイベントのまとめです。マスプライム杯など私が参加したものもあるので、振り返りながら読みたいです。