合体型3枚二刀流(仮)

素数大富豪好きの皆さんこんにちは、さしみです。最近は原始的な3枚出しを使いこなせるようになってきて、そろそろ上級者相手にも通用する二刀流に手を出そうと思っていました。しかし、57を使った二刀流は使える場合が限定されているというデメリットがあります。そこで、今回は、これまでの3枚二刀流に加えて覚えることでさらに勝ちパターンを増やせる、新しい二刀流戦術を考えてきました。この記事ではそれを紹介し、KQKがある場合に絞って実際にどれくらい使えるのか検証していきたいと思います。

 

各種確率の計算には、こちらの素数大富豪シミュレーションを使っています。最大で各ケース100万回の試行を行っていますが、数値が0.1%程度真の値からズレている可能性があります。

http://searial.web.fc2.com/tools/sosukama.html

 

 

3枚二刀流とは

二刀流とは、手札に切り札となる素数がある場合に、初手の小さい素数に返されてもカマトトされても勝つことができる戦術のことです。こちらの3TKさんによる記事が参考になります。

https://hana3101382283.hatenablog.com/entry/2020/05/31/kaieda

 

ここで紹介されている4枚二刀流のほかにも、3枚や5枚の二刀流が考案されています。3枚二刀流は、57をグロタンカットに消費した上で、3枚3桁→(KQKなど→残りor119KQKなど)という形で組み切るものがメインです。また、合成数型といって3桁を出した残り8枚を合成数で使い切るものもあります。詳しい説明はこちらのマリンさんによる記事を参照してください。

https://marinnonikki.hatenablog.com/entry/2020/11/26/145146

 

3枚二刀流の出現率

始めに、3枚と4枚の手札がカマトトもドローもしない相手に返される確率を提示します。まず、KJQJとKKJはカマトトされなければ0%です。KJTKはKKJを含むので一旦無視し、KTQJとKQKはなんとほぼ同じで23%となります(自分の手札を抜かないシミュレーションです)。確かにこの辺までが強い切り札とされている気がしますね。ただし、上の二つの記事では、それぞれJKJJ(35%返される)とKTJ(38%返される)までが一応有効とされています。

 

今回は特に3枚二刀流が有効で勝ちやすいKQKに焦点を当てるため、23%ラインまでの切り札のみを考えます。また、議論を簡単にするため、KKJは揃えば勝ち、KJQJとKTQJの二刀流は必ず可能と仮定します。このとき、その3つのどれかが揃う確率は36.6%、3つとも揃わないがKQKは揃う確率は41.5%です。ここから、KQKの二刀流が可能なら最善手となる確率を、差の4.9%として以下の議論を進めます(ただし、KQKをKTQJより優先するなら7%など、仮定によってはこれより大きくなることが多いです)。

 

それでは、より上位の切り札は揃わないがKQKの二刀流ができる可能性はどれくらいあるのでしょうか。まずは今までに公開されている57型と合成数型に限って考えてみます。また、KJQJ、KKJ、KTQJおよび対象とする全ての二刀流の組み合わせ(残り3枚については、怪しいが必ず素数が作れるものとする)の出現率をシミュレートして、36.6%と41.5%の間のどの位置にあるかを判断に用います。すると、以下のような値が得られます。

 

全ての57型二刀流:1.4%/4.9%

57KQK自体の出現率:1.7%/4.9%

57型と合成数型:1.5%/4.9%

 

つまり、せっかくKQKが揃っても、それで二刀流ができるかもしれない! となることすら1/3もないのです。これは、他の切り札を無視した場合(7%/23%)も同様です。

 

合体型3枚二刀流(仮)

ここで、二刀流の原理に戻ってみましょう。3枚を出した後、KQKなどを含む残りの8枚と、そこから切り札を抜いた5枚のどちらも相手に行動させることなく処理できれば良いのでした。そして、5枚を一気に出す方法とそれに絵札3枚をつける方法の二つを覚えるのは手間がかかりすぎることから避けられているのでした。

 

では、5枚5桁の素数の後ろにそのままKQKなどをくっつけて素数にすることができれば、覚える数は一つで済むのではないでしょうか? 3枚だとそんな都合の良いことはなかなかありません(代わりに素数をその場で作るのは簡単です)が、5枚なら最大120通りの並べ替えがあります。

 

実際そのような素数はたくさん見つかりました。それどころか、自分自身も素数なのに後ろにKQKをつけてもKJJをつけても素数になるという大変お得な数まであります。ネーミングは難しいですが、私は二刀流に使える素数を合体素数、特に2通り以上の二刀流に使えるものを槍の穂先を付け替えるイメージで穂先素数と呼ぶことにしています。

 

 

上の表には、5枚が全てバラバラなもの(3で割って2余る42種類ほどの組み合わせのうち37種類が合体素数になるのはすごいですね)を中心にKQKの合体素数をまとめました。2468が2枚被るものまでは全て載っているはずです。また、上位互換だがKQKにしかつかないものよりも穂先素数になっているものを優先し、組み合わせが同じものは省きました。

 

左2列が穂先素数、evenは偶数が3枚以上のもの(5を含んでも良いがその場合7は含まない)、57とあるのは57を含むものです。

 

一応使い方も書いておきます。例えば12345999QKKという手札があったときに、最初に499を出し、返されたらKQK→95231、カマトトされたら95231KQKを出すことができます。相手が初めからKKJを持っていたり、先にKQKを出されたりしなければ勝つことができます。

 

覚える順序ですが、穂先素数、偶数が多いもの、その他の順が良いでしょう。57を含むものは57型と出現する機会が被りがちなので余裕があればで構いません(57型の方が若干使いやすいですが無視してこちらだけ覚える手もあると思います)。

 

3枚二刀流の出現率・改

さて、57型と合成数型だけのときと同じように、合体型を加えて出現率をシミュレートしてみましょう。まずは、57を含まない33個全てを覚えた場合を考えます。

 

合体型33個+57型29個全て+合成数型5個:3.1%/4.9%

合体型33個+57型18個:2.9%/4.9%

 

まず、全てを覚えると従来の2倍以上のケースに対応できることが分かります。これは重複を考えるとかなり高いと感じます。下の段について、合成数型は面白いですが、覚える手間を考えると合体型に吸収させた方が楽だと考えました。また、57型のうち3桁全てが異なるものを抽出することにしました。これでもあまり効率は下がりませんね。合体型の威力を見るためにこちらをベースとします。

 

穂先・偶数消費26個+57型18個:2.7%/4.9%

穂先15個+57型18個:2.2%/4.9%

穂先15個:1.5%/4.9%

 

穂先でも偶数消費型でもないものは省いてもそこまで変わりません。奇数が多いものは残りで3枚出しするのも大変ですし覚えなくてもいいかもしれません。しかし、穂先15個まで絞ると流石に目減りします。一番下の段のように、57型を全く覚えなくてもKQKとKJJの二刀流出現率を同時にこれだけ上げられるというのは嬉しいですが。

 

合体型のメリット

ここで、合体型のメリットをまとめておきます。

 

まずは、57がないときでも3枚二刀流ができるという点です。これにより、57型を完璧に覚えている人にも合体型を覚える効果が大きくなっています。

 

次に、今回はKQKを含むものの出現率ばかりに目を向けていましたが、穂先素数については同時にKJJの二刀流もカバーしています。最初に覚える15個は効率が2倍になっているわけです。

 

最後に、5枚5桁の素数を覚えることができるという点も、私を含む初心者~中級者には嬉しいです。偶数消費型でないものまで覚えれば、5と7の両方は含まない5枚5桁バラバラのうち、半分近くは覚えたことになるはずです。初手にKJQJ→57を出した残りや、3枚→KKJで親を取った残りは5枚ですね。今回登場する合体素数は、知らないうちに、これらの組み切りにも貢献してくれるのです。

 

まとめ

長々と書いてしまいましたが、ここで言いたいことをまとめておきます。従来の57型3枚二刀流は一つの記憶量が少なく強力ですが、使えるケースに被りが大きいと考えられます。そこで、素数でありながらそのままKQKの前に付けることで二刀流ができる、合体素数を紹介しました。そのメリットとして、57型が使えない場合の多くをカバーできること、5枚出しを覚えられること、特に穂先素数であればさらに覚える量を減らせることを示しました。

 

実際には、(4枚二刀流も最低限KJQJとKTQJはマスターすることを前提に)57型をある程度覚えつつ、穂先素数と偶数の多い合体素数を覚えていくのがおすすめです。

 

今後の研究では、まず実際に残りの3枚で素数を作ることができる場合がどれくらいあるのかを探りたいです。もし二刀流の8枚が1種類手札にあっても、残りの3枚が詰んでいたら意味がありません。この点は、実際の勝率を探る上で重要であるだけではありません。もしかすると、この記事の方針と異なり、多少カードに被りがあってもできる限りたくさんの二刀流を覚えることが有効という結論が出るかもしれません。

 

次に、合体素数はどのような3枚二刀流についても見つけることができ、特にKKJとKTJのどちらの前にも付けられる穂先素数が有用であると考えられます。今回取りこぼしたKJJのみの合体素数を含め、それらについても調べていきたいです。

 

さらに、やはり5桁の素数機械的に覚えるのは難しいです。語呂合わせもまとめたいですが、まだ試行錯誤している途中で、53441x/59441x「ゴミ吉井/コック吉井」(全国の吉井さんごめんなさい)くらいしかありません。KKJ/KTJ穂先素数とともにまとめて記事にしたいです(3で割った余りが被らないのは、覚えやすいだけでなく、5枚出しが身につく効率も下がらず嬉しいですね)。

 

この記事が参考となり、11枚組み切り戦術の幅が広がれば何よりです。読んでいただきありがとうございました!