マスプライム杯2023参加記

こんにちは、さしみです。この名前で何か書くのも久しぶりですね。先日、素数大富豪というトランプゲームの、マスプライム杯という大会に参加してきました。そこで界隈の方々に大変お世話になったので、参加記を通して少しでもお礼ができればと思い筆を執りました。この記事では、初心者に近い私が大会を通して何を考えていたのかを公開します。長くなってしまいましたが、言いたいことは感想にまとめてあります。

 

素数大富豪を知らない方には分かりづらい内容となってしまいました。代わりにこちらの記事と小説「QK部」を読んで雰囲気を知っていただければと思います。

https://primeqk.themedia.jp/pages/4500251/rules

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882787354

 

 

経緯

私が素数大富豪に出会ったのは、2018年頃です。当時、私はインターネット上で人工言語(人が、語彙や文法を設定することで、意味を表せるようにした言語のこと)に関する活動をしていました。大会で紹介していただいた68615234311X「リパライン語に刺身いい」の「リパライン語」も人工言語の一つです。そのとき、素数大富豪やそれをテーマにした小説「QK部」の存在を目にして、素数大富豪を始めました。素数大富豪オンラインでの対戦もしつつ、一時はかなり没頭していました。

 

時は流れ2023年夏、久しぶりに「QK部」のことを思い出し検索すると、ちょうど完結したばかりでした。そして、素数大富豪を楽しむコミュニティが今も続いていること、近いうちにまた大会が開かれることを知りました。これも何かの縁だと思った私は、マスプライム杯2023に参加することを決めました。

 

大会まで

初心者歓迎、という公式の告知とは裏腹に、参加者は猛者が揃っているようでした。楽しむことが最優先ではありましたが、少しでもトーナメントで勝ち進める可能性を残したいとも思っていました。そこで、8月初めからの1か月で覚えられる戦略を、様々なブログをはしごして探しました。参考になった記事、面白かった記事はいくつもあります。環境を知る上で特に役に立ったのはこの辺りでしょうか。

https://hana3101382283.hatenablog.com/entry/2020/05/31/kaieda

https://graws188390.hatenablog.com/entry/2020/12/21/192411#fn-a7929cf9

https://qk-titech.hatenablog.com/entry/2021/04/15/121300

 

overKJQJの存在、全出しが一般的になっていることなどは「QK部」の時期の知識しかない私にはとても新鮮でした。その中で、私が考えたのは、二刀流か絵札の多い多枚出し、できなければ全出しというものでした。4枚4桁と二刀流、その他有用な素数くらいであれば短い期間で覚えるのも現実的だと思ったのです。これで、タイマンのとき先手番3割、後手番1割の勝率を見込んでいました。今考えると少し甘いですが本当にそれだけ覚えられれば十分可能な数字だとは思います。

 

しかし、やるべきことや他の趣味(言オリなど)が忙しいなどの理由で上記のことは全くせず、特に対戦の練習もしないまま大会は目前に迫ってしまいました。怠惰ですね。前日は諦めてさしみ(343)を含む四つ子素数を探していました。7123432X「ナイフ刺身に」や3431389X「刺身いざ焼く」などですね。ちなみに68615234311Xを見つけたのは始めたての頃です。

 

当日

大会当日、特に寝坊することもなかったのですが、準備不足で外出が遅れ、なんと10分ほど遅刻してしまいました。初参加者の遅刻の電話にも優しく対応していただき、本当に有難かったです。申し訳ありませんでした。

 

抽選は当然最後になり、予選は4人ブロックの配信卓になりました。突然の配信決定に驚きつつ、それまでの試合を眺めながら会場の雰囲気を楽しんでいました。やはりどんな遊びや競技でも、対面だと交流が生まれやすくて良いですね。「QK部」著者のキグロさんともお話しすることができました。

 

スペードブロックの皆さんもとてもフレンドリーで、試合前の雑談でかなり緊張がほぐれました。その前にはもりしーさんの方から話しかけていただいたのですが、おそらく5年前にも名前を見かけたことがある中で微妙な反応をしてしまったのは申し訳なかったです。

 

ところで、界隈が近いということもあるかもしれませんが、言オリの存在がある程度知られていたのは嬉しかったです。参加者の中にはJOLに出たことがある方もいたようですね。

 

予選

カステラさんの数譜を参考にさせていただきました。

https://graws188390.hatenablog.com/entry/2023/09/12/121309

 

さて、ついに試合が始まりました。第一セットは何をしたらいいか分からず、ペナルティで手札を増やしてから親を取ってから思い出したように全出しをしています。しかしこの6726724111が運よく素数で、まさかのリードとなります。1001チェックを簡単に通せる組み合わせだったのは嬉しいですね。これで素数になるのは10桁だと24%と、ない確率ではないようです。

 

第二セット、第三セットはもりしーさんがそれぞれKKJ、KKの鮮やかな組み切りで勝利しました。もりしーさんの実力が突出していることは聞こえてきており、その一端を感じました。そんなもりしーさんに手ごわいと言っていただけたのは嬉しかったですね。どちらも狙ったことではないですが、事前にあまり手の内を明かさなかったり全出しを決めたりしたのが効いたのでしょうか。

 

第四セットは絵札7枚という大物手を持ちながら知識不足が露呈する回となりました。4枚出しを覚えていないと書きましたが、出した四つ子素数の8T43や語呂合わせを除けばほとんど知識がなく、ペナルティの連発となりました。中でも、直前まで頭に、刻みつけようとしていたKTQJを忘れて3の倍数を出してしまったのは痛いですね。このセットはでこぽんさんが522323「ごっつんふみふみ」で取りました。それと、もりしーさんが、私が「QK部」ファンなのを知って44Q3「吉井史」を出してくれたのには思わず笑顔になりましたね。

 

第五セットはまたしても3の倍数を素数だと思って出し、場を和ませました。ペナルティの引きが良く、2回親を取っていい感じに手札を減らせましたが、最後の5枚出しに失敗しました、父さんはしばけないんですね。3T489「佐藤しばく」なら素数のようです。このセットはコロちゃんぬさんが取りました。全員が勝ち切る力を持っていて、誰が抜けてもおかしくないと考えていました。

 

第六セットはジョーカー2枚とまたしても非常に恵まれた手札が来ました。148X「石破」は「QK部」にも顧問の先生の名前として登場します。今度こそKTQJを出してしっかりと勝利しました。KTQJは、先に出されていたらKJQJが必須になり危なかったですが。

 

そしてアディショナルタイムに入った第七セット、まだ全員に予選通過の可能性が残されています。ここでもまた絵札が多く、5689のような素数を知っていればKJQJを軸に組み切れそうでした。実際は何も覚えている4枚の素数がなかったので5Q=2^9を出してみました。この合成数は結構好きです。その後はQKかKJQJが出せると嬉しい、くらいの気持ちでしたが幸運にも親が回ってきたのでKJQJから863で上がることができました。3桁の素数に時間をたっぷり使って割り算をしてしまったのは仕方ありません。

 

余談ですが、77枚の初期手札に絵札とジョーカーが合わせて35枚含まれていたのは、1%台の上振れのようです。

 

幕間

ということで、最後に逆転し、単独3勝で予選を抜けることができました。勝因は手札に恵まれたこと、全出しが決まったこと、ペナルティが最大3枚で手札が多くなりすぎないため多枚出しが少なく、またKJQJなどでほぼ確実に親が取れたことなどでしょうか。幸運とルールに助けられました。ルールに関しては、賛否両論あるようですが、初心者向きであることには完全に同意します。

 

正直、決勝トーナメントに出られるとは思っていなかったので、直前は予選と比べ物にならないほど緊張していました。最も不安だったのは、この大舞台にふさわしい試合ができるかです。マスプライム杯に思い入れのある人の目に、イレギュラーな勝ち方をした私はどう映るでしょうか。楽しむだけならともかく、普段の努力が足りないのにその場でだけ泥臭く勝ちを求めるのはいかがなものか。そのような考えには何度か触れてきました。

 

それでも、予選で対戦したもりしーさんに応援の言葉を頂き、観戦していた方々から休憩時間に話しかけていただいたことで少し安心できました。

 

準決勝

準決勝は圧倒的強者のカステラさんです。何が来てもいつも通り戦うという余裕を感じました。先手番2回ならわずかに勝ち目があると思っていたので、じゃんけんで勝ったときには心の中でガッツポーズをしていました。

 

そして第一セット、予選の豪運からすると物足りないですが悪くない手札であることはすぐに分かりました。KTQKがある、二刀流を覚えておけば良かったかな。それ以前に4桁の素数すらまともに出せなかったのは悔しかったです。結局グロタンカットから全出し、1001チェックをしていないので12%というところでしょうか。外れ、KKQTJから試合を決められました。

 

後手に交代した第二セットは、8枚出しに返せる絵札がなく、負けが確定しました。ここで、トーナメント敗退となりました。

 

さて、拙いところもあるかもしれませんが、初戦についての考察を少しさせてください。やはり初期の手札からは二刀流が、それも4通りできました。一例ですが、最初に6211を出し、返されたらKTQJから877、カマトトされたら778KTQJを出すことで、通常はほとんど勝ちが確定します。今回の場合はKJTKなどを返されうるので上手くいくとは限りませんが、私が思いつく中ではこれが最善手です。

 

懇親会

大会後は懇親会にも参加させていただきました。ここでも素数大富豪をしたほか、数学デーの話を聞き興味を持つなど、得るものは多かったです。

 

感想

まずは、大会でベスト4という成績は、記念になりました。素直に嬉しいです。それから、一対一の対戦は形式は多少違っても「QK部」の世界に入ったようで刺激を受けました。配信で話したことは「パワーアップしてまた来る」とまとめていただきましたが、その通りパワーアップしたい、というモチベーションが湧いています。

 

戦い方が顰蹙を買うようなことも、そもそも全出しが既に一般的になっているという理由もあるでしょうが、少なくとも見える範囲ではありませんでした。対戦した方々は皆、どのような相手に対しても楽しみつつ勝ちを目指していたと感じます。

 

ところで、計算などに集中するあまり、配信で見えにくい札の持ち方をしてしまったのは申し訳ないです、次があれば注意します。

 

大会形式については、一度書いた通り、最強を決めることよりも初心者を受け入れることを重視したものになっていると思います。配信される大きな大会は前者であってほしいという気持ちもよく分かります。これからも様々な大会が開催されていくことを勝手に願っています。個人的には、20枚以上の組み切りに慣れるのはできてもだいぶ先なので、一対一だけどペナルティ3枚までの大会があると楽しいと思います。

 

知らない界隈を覗いてみる、という目的も達成されました。雰囲気になじめないのではないかと不安に思っていましたが、歓迎していただけました。正直なことを言うと、中高生主体のイベントと比べ、自分が楽しむことよりもその会全体を盛り上げることを考えて行動している方が多いと感じました。私は今回楽しむばかりだったので、これからできる範囲で少しでも還元できたらと思います。とりあえず別の界隈にも素数大富豪を布教していきます。

 

最後になりますが参加者の皆さん、スタッフの皆さん、改めてお礼を言わせてください。ありがとうございました!