こんにちは、さしみです。先日、マスプライム杯に参加した際に「Qが余ってしまうことが多いのだけどどうすればいい?」という質問を受けました。そのときには素数をいくつか挙げたのですが、Qを活用するための考え方にまでは触れられませんでした。そこで、今回は、同様の悩みが出てきたときのために、参考になる内容をまとめておきます。初心者の快適な素数大富豪ライフ、それから大会での勝率アップに貢献できればと思います。
この記事では、最初になぜQが余りがちなのか私なりの解釈を述べた後に、そもそもある札が余るとはどのようなことなのか、どうすればそれを防ぐことができるのか、基本的な考え方を述べていきます。それから素数表を提示し、それぞれの素数について使いどころを解説していきます。例によって前置きが長いので、目次のリンクから素数表だけでも見ていってください!
なぜQは余るのか
それでは、なぜQが余るのでしょうか。言い換えれば、素数大富豪においてQを多く含む手札を使い切るのはどうして難しいのでしょうか。まず考えられる原因は「3枚出し以下において、Qを使う札の組み合わせが最も少ない」からです。これは以下のOTTYさんの2018年の記事で検証されています。
https://otty8121013.hatenadiary.jp/entry/2018/12/10/222005
特筆すべきはQが2枚出しを(グロタンカットを含め)2通りしかできない唯一の札であることでしょうか。これは、3枚出しをまだいくつかしか覚えていない初心者にとっては大きな脅威となります。そして、3枚出しについても、Qを使って素数を出せる組は最下位の29個であり、3の61個と比べると半分以下しかありません。
それから、上の記事ではあまり大きく取り上げられていませんが「Qを2枚使う3枚出しが存在しない」ことも個人的にはとても重要だと思います。Qが余ったとされるとき、最初に持っていたQは2枚か3枚でしょう。すると、どこかでQを2枚使うことができなければ、最大3回もQを使う手を強いられることになります。4であれば3枚持っていても443や449を出せば残り1枚にできるというのに。
最後に、3枚出しを覚えている方は、まずどのような素数から覚えたでしょうか。KKJ、素晴らしい。82Xの四つ子素数(821,823,827,829)、最高です。しかし、Qを含む4桁の素数を3桁の素数より先に覚えたという人はかなりの少数派でしょう。絵札を1枚だけ含む中途半端な大きさの素数が注目されづらいというのも、Qが余る原因としては無視できないでしょう。大きい数は適当に出したときに素数である確率も下がりますし。
なぜ札は余るのか
少し寄り道しますが、そもそもなぜある札が余るのか、余らないためにはどれくらいの知識が必要なのかについても触れておきます。後で紹介する素数表の前提にもなるので、読んでいただけると理解が深まるかと思います。
大前提として、トランプの54枚のうち、2枚出し以上の一番下につけられる札はジョーカーを含め26枚しかありません。そうでない札、2,4,5,6,8,T,Qが「偶数」と呼ばれますが、偶数の方が多いのです。ということは、ある程度運が良くない限りは、相手に関係なく2枚出しだけで上がることはできません。どこかで偶数を奇数より多く消費する必要があるのです。これが、初心者に最低限3枚出しまでは(ある程度)覚えてほしいとされる最大の理由だと思います。
それから、3枚出しをメインウェポンとするにも問題はあります。一つは、12枚を3枚出しに分けるとしても「奇数」が4枚必要となることです。偶数があまりにも多い場合は、ドローやカマトトで手札を増やすか特別に4枚出し以上をする必要が生じます。そのようなときに使われる素数がいわゆる偶数消費型素数になります。
もう一つは、同じ札を3枚持っていたとすると、その札を1枚ずつ消費することを考えたとき、似たような素数を3回出さなくてはならないことです。これは、3枚出し特有というよりは、知識が少ない場合全般に起こるものですが。
例えば、12334568889という手札を持っていたとします。これを4つの素数に分けようとすると、863,853,829,61などとなります。8が3枚あるため、8を含む素数を多めに使うことが求められました。もし、ここで883のような素数を知っていれば残りは12345689となり、残りの組み合わせの自由度を上げることができますが、Qの場合はそれが難しいことは上に述べた通りです。
以上から、勝ち負け以前にどのような手札からでもいつかは上がれるようにするために、3枚出しをまんべんなく覚え、それに加えて札の偏りに対応できる素数をしっかり押さえておくことが必要であるという結論が得られます。
Qの素数表
ということで、Qが余る原因を潰せるように考えてきたのが、この素数表です。使いやすい3枚出しの大部分をカバーしているため、これと3枚3桁、切り札だけでも3枚出しにはほとんど困らないでしょう。それから、ピンポイントで必要なときに出せるよう、Qを2枚以上使う4枚出しも覚えやすいものを選んで載せています。
Qの素数表の解説
素数表を見ながら練習したり、とりあえず覚えてみたりするだけでも役に立つとは思います。覚えやすい並びを意識していますし。ここでは補足として、覚えやすさのコツや、使うと強い場面などについて解説していきます。
まずは2枚出しから、復習になるかもしれませんがQ7とQKで素数は全部です。意外にも合成数には便利なものが多く、特にそれぞれQ5=5^2×5、Q8=2^6×2、5Q=2^8×2などと出すことで奇数を全く使わないこともできます。
次に3枚4桁、10個とも重要度は高めです。語呂は「よい肉」くらいしか有名なものはありませんが、なんとかできるだけたくさん覚えたいところです。6Q1,7Q1については10倍したものを合成数出しすることでQを2枚、Tを1枚消費できてお得、しかも強いです。機会があれば狙ってみてください。
合成数を先に解説しておきます。8Q8については小ネタとして2^7-1=127よりQ7が素因数になる、ということがすんなり理解できると思い出しやすいです。これもQが2枚消費できるため便利ですが、4枚出し素数ほど出しやすいわけではないので無理に覚える必要はありません。
3枚5桁は絵札を2枚消費するため、相手に強い素数を出すかパスするかの選択を迫ることができます。QTには3以外の1桁奇数(1,7,9)をつけられて、残った3はTTにつけられると覚えると簡単です。それから、数札から始まるものは余裕があればQを含まないものも全て覚えると良いでしょう。
4枚出しに入ります。6桁ではまずQXQ7の形を挙げていて、このXには3の倍数が入るという覚え方ができます。同様のTXT7という並びも、Xに入る数が多くて便利です。次の4つは、1または4、3または7のペアが使えると覚えましょう。その上で、1はQQの後ろ、4はQQの前につけ、3と7はもう片方の端につけると素数になります。
4枚7桁はまず下に3がつくものが覚えやすいでしょう。Tも同時に消費できます。数札で始まるものは、QQKをつけられるのは4と9のみ、などと知っていると、他の数をつける間違いを減らせるのかなと思います。QQQJは4枚出しの中では5番目に強いです。
ところで、4枚出しは、Qが2枚以上あり、3枚出しだけで上がることが難しそうなときに検討すると良いでしょう。切り札として使うよりは、一度出して相手の出方を見るのが強そうです。相手がパスすれば3枚出しに移行しても良いですし、相手が無理にJやKを使って返してくれれば手札が有利になります。
最後に、5枚出し以上では、覚えたら強そうな素数の例を提示してみました。Qを3枚含む絵札だけの素数は、QQQJに加えて絵札を使うことで、より強くなるというものです。四つ子素はXに1,3,7,9を入れられるというもので、最初に覚える7枚出し以上として秘密兵器のように使うことを意図しています。
実戦例
上の素数の使い方をイメージできるよう、素数大富豪CPUとの実戦を解説します。相手は初心者の練習におすすめのver.3です(ver.4でも探索枚数を4枚以下にすれば同じ強さのようです)。数譜は数譜再生くんで見られる形にしています。
https://searial.web.fc2.com/tools/sosusaisei.html
you:A356678TJQQ
cpu:AA24689JQKX
you:D(6)66A
cpu:94K
you:QT7
cpu:2QJ
you:6QJ
cpu:D(6)%
you:853#
1戦目は絵札は4枚あるもののQが2枚ある上に奇数が少なく動きづらい手札です。12枚を3枚出し4つに分けるとなんとか足りるので661,QT7,6QJ,853と出すことにしました。幸いCPUが絵札を小出しにしてくれたため、6QJに返されず勝つことができました。強い人だとKKJを温存してきそうですが、それで負けたら諦めましょう。
you:A355679TQQX
cpu:A256899TTJJ
you:QQT3
cpu:8JTJ
you:%
cpu:T=2*5
you:X[IN]
you:57[GC]
you:5X|X=7[GC]
you:69A#
2戦目もQが2枚あり、今度は様子見でQQT3を出すことにしました。パスされれば57,57,691で勝つことができます。CPUは8JTJと強めの数で返してきたのでここはパス。困ったCPUはTの合成数出しをしてきて、ラッキーなことに2枚目のジョーカーを引いたので当初の予定通りに勝てました。ドローが他の札ならとりあえずジョーカーを出して9始まりの3枚出しをするくらいでしょうか。
コラム:上級者はどうQを使いこなすのか
ところで、初心者にとっては使うのが難しいQを、上級者はどのように役立てているのでしょうか。
一つは今までに説明してきたことの延長線上にある、絵札としての強さです。知識さえあれば、Qは大きな素数を作るのに他の絵札と同様に役立ちます。例えば、9QQTTJのような絵札が5枚の素数は、初手で出せば返されないことが多いです。また、手札が24枚になるような展開でも、相手が絵札を6枚消費すれば、切り札がほとんど残りません。このように、上級者は様々な枚数でQを絵札として活用しています。
もう一つ、QがKの次に大きいことによる強みも存在します。KKKQQQJという素数はKを3枚、Qを3枚使います。残り全てを相手が持っていたとしても、相手はジョーカーをフル活用してKを3枚、Qを1枚しか使うことができません。そのため、この素数は絶対に返すことができないのです。このように、上級者間では手札の強弱がKとXの枚数でなく、Qの枚数でも決まることがあります。
おわりに
この記事では、Qをどうにか使い切る方法から、上手く勝ちに繋げる方法まで解説しました。素数表の素数のチョイスには自信があるので、ぜひ練習や対戦に役立てていただければと思います。何か分からない点があればいつでもご連絡ください。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました!